エルダー2020年11月号
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エルダー37「菊池さんが課長のときに私が入社し、仕事を教わっただけではなく、悩み相談にものってもらいました。定年後に課長職を降りてからも、技術も経験も豊富な菊池さんが現場にいてくれることが頼もしいです。迷ったり分からないことがあれば、いまも菊池さんに相談しています。新入社員の教育などもサポートしてもらっています」また、藤枝係長は同社の継続雇用制度については次のように話します。「現職として勤務を続けて、現場の戦力として、かつ、新人や既存社員のスキルアップの支えとして活躍してもらえますので、とてもよい制度だと思います」中村芳よし夫おさん(71歳)は、アパレル関係などの仕事を経て、47歳で転職して同社に入社しました。主に機械による野菜加工を担当し、定年後も同じ業務を担当。フルタイムで週5日、勤務を続けています。「野菜は機械にかけて規格通りにカットしますが、さまざまな切り方があり、ミリ単位で指示があります。気をつけているのは、品質を保つこと。機械の刃やビスのチェック、整理整頓を心がけ、品質管理に細心の注意を払いながら、日々の仕事に臨んでいます」(中村さん)たしかな仕事をするために、自らの健康管理にも気をつけているそうです。定年を迎えた際は迷うことなく継続雇用を希望したと中村さんは話します。「社長のことが好きなんです。人柄が好きですし、工夫をこらした社内イベントを企画してみんなを楽しませてくれるなど、社員への思いやりを感じます。ここで継続して働くことができうれしいですし、会社のためにがんばりたいと思っています」現在、衛生管理者の免許取得を目ざして勉強中で、来年に受験予定とのこと。矢越総務部長は、中村さんの仕事ぶりについて次のように話します。「仕事だけでなく、社内イベントでも盛り上げてくれる社内の人気者です。若い人とも気さくにコミュニケーションを図り、職場の潤滑油の役割も、になってくれています」75歳以上の雇用条件の検討へ矢越総務部長は、今後の課題として継続雇用制度をあげます。「現在は、継続雇用に対して年齢制限を設けず、本人との面談、勤務状況を勘案して1年ごとに更新しています。毎年健康診断をしていますが、高齢になるほど持病悪化などが危惧されるので、75歳以上の雇用については何らかの条件設定が必要になってくるでしょう。今後検討したいと考えているところです」萩原プランナーは、そのための対応について、次のように話してくれました。「参考になるのは、厚生労働省が今年3月に公表した『高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)』です。もちろん、他社の事例紹介なども含めて、今後もサポートしていきます」大倉商事では現在、独自商品の製造・販売を強化し、商品開発や販路拡大に注力しています。年齢で線引きせず、みんなで協力することにより、すべての社員にとってやりがいにあふれる職場になっていくことに期待が集まります。 (取材・増山美智子)野菜加工業務を担当する中村芳夫さんは、職場のムードメーカーでもある

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