エルダー2020年11月号
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株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之人事用語辞典■■■■■■■■いまさら聞けない 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者ならおさえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2020.1142第6回目に取り上げるのは「人事評価」です。おそらく、人事関連の用語のなかでもっとも浸透しているものだと思います。簡単にいうと、定められた基準に基づき、優劣を判定することです。会社が人事評価を仕組み化する場合、業務上の成果や本人の能力、仕事に取り組む姿勢、日常行動などの「評価項目」別に基準を定め、判定します。その評価の結果を昇給や賞与、昇格・昇進(俗にいう〝出世〞)などの処遇変更に反映させることが一般的です。高齢者雇用においては、特に継続雇用・再雇用の場合は1年間という短期的な契約が多いため、これまでは人事評価を実施しないのが主流でした。しかし現在では、60歳以降の社員に対しても50%以上の会社が人事評価を実施または実施検討中であり、うち60%程度の会社が報酬改定に活用している状況にあります(労働政策研究・研修機構『高年齢者の雇用に関する調査』2020年)。高齢者の活躍推進にあたり、人事評価の正しい理解と運用が重要となっています。絶対評価と相対評価ここからは、人事評価を運用するうえでポイントとなる点について解説していきます。まず、必ず押さえておいていただきたいのが、「絶対評価」と「相対評価」の違いです。絶対評価とは、定められた基準に対しての達成度合いで優劣を判定するものです。例えば、半年間で5千万円の売上げを達成することがAさんの目標の場合、5千万円の売上げがあれば標準、6千万円なら優秀、4千万円なら劣った評価となります。一方で相対評価とは、比較によって優劣を判定することです。先ほどの例であれば、Aさんに5千万円の売上げがあっても、Bさんが7千万円、Cさんが1億円だった場合、Aさんはもっとも劣った評価になります。このように書くと、絶対評価で評価すべきですねといわれそうですが、そう単純な話ではありません。たしかに、評価される側(被評価者)のモチベーションや客観性といった面を考慮すると絶対評価の方がよさそうですが、処遇変更の判断に使う場合は、絶対評価だけでは運用しきれない部分が出てきます。先ほど〝出世〞と書きましたが、これが一番わかりやすいと思います。課長↓部長↓役員↓社長になるにつれ、人数としては絞り込んでいかなければなりません。「絶対評価がよいので、社長が5名います」、という会社はありません。ここには、比較してだれがもっともふさわしいかという判断が必ず出てきます。人件費の面でも同じです。絶対評価が全社員よくても、社員を比較して優秀な順「人事評価」第6回

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