エルダー2020年11月号
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エルダー45特別寄稿1欧米における高齢者就業とブリッジ・ジョブる「年金」が考えられます。その金額や支給開始年齢などが高齢者の就業行動に影響を与えるという想定です。その一方で、雇う側の行動に影響を与える「定年制」があります。日本では、定年延長や定年後の継続雇用などが実施されてきたことから、想定しやすい要因だと思います。そこで次に、この期間の年金制度の変化と、定年制の変化について見ていきます。年金制度の変化3(1)1990年代まで年金は、高齢期の生活を支える柱となるものですが、それぞれの時点での社会経済的な動向にも影響を受けています。実は1970年代から1990年代にかけて、欧米諸国では、失業率、とりわけ若年者の高失業率に悩まされていました。そのため、高齢者の労働市場からの早期引退を意図した政策が展開されました。それによって労働供給量を減らし失業を減少させ、また空席となった仕事に若年者が就くことによる若年者の就業促進をねらったからです。そのため高齢者の引退促進のために、(老齢)年金の支給開始年齢を早めるなどの政策が展開されました(清家ほか 2005)。0.020.040.060.080.0100.0(%)0.020.040.060.080.0100.0(%)60~64歳65~69歳フランスドイツ日本イギリスアメリカ19801985199019952000200520102015(年)19801985199019952000200520102015(年)出典:OECD.Statのデータをもとに、筆者作成注:日本の65~69歳は、総務省「労働力調査」のデータで一部補填図表1  各国の労働力率の推移(男性)

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