エルダー2020年11月号
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エルダー53特別寄稿2高齢社員に対する新型コロナ対策勤を継続し、在宅を中心とするテレワークを進めることも可能です。営業などの訪問もウェブ会議システムに切り替えて、出社人数を制限して、互いの距離を保ちながら、業務を行うことができるように日々調整することもできます。通勤や移動の際のみならず、職場内でもマスク着用を欠かさず、換気を励行し、徹底して手洗いを継続することが大切です。閉鎖空間で雑談しながら昼食を摂ることも避けましょう。終業後に飲み会に出かける機会もできるだけ少なくしていく必要があります。特に医師の目から見て、職場内での手洗いはいい加減な人が多いです。目に見えないウイルスを除去するには石鹸を用いて洗い流すまで30秒程度かかるものです。そうした意識と習慣を徹底することも重要です。喫煙の際にも互いの感染を起こす可能性があり、換気や距離を保ち、あるいは前後の手洗いまで、十分な対応を社員に求めることが大切です。健康管理面から、禁煙をすすめることが肝要であるのはいうまでもありません。②「症状が出たら自宅待機」というルール徹底経営者、責任者・担当者が恐れる事態は職場での集団感染(クラスター)の発生でしょう。2月に厚生労働省より、新型コロナの受診や相談の目安は、「37・5度の発熱が4日以上続いたら帰国者・接触者相談センターに……」と示されたことが影響し、発熱が断続的であったり、明らかではない人がそれを申告せず出社したり、後にクリニックなどにかかってもPCR検査が実施されず、PCR検査を受けてもその結果を待っている間は自宅待機さえしない、といったケースが少なくありません。これらはすべて職場内での新型コロナの感染源となる可能性があります。新型コロナの集団感染を職場で起こさないためには、マスクの着用や距離を保つこと、定期的な換気などを行うだけでなく、何らかの症状があった場合に自宅待機を気安く申し出ることができるルールを決めて、徹底することが最も重要です。もしも、症状が出て新型コロナと判明した社員への誹謗中傷が予想される職場風土であれば、症状を隠して出勤する社員を止めることができません。新型コロナの特徴から、うつす人もうつされた人もともに罪はありません4444444。発熱などの症状があれば当然辛い状態ですから、それを責めてはならないと、読者の方々はいわれなくともおわかりであろうと思います。これを機に、病気による休業・有給休暇の取扱いを労使で話し合い、弁護士や社会保険労務士とも相談のうえ、ルールを整備してください。③かかりつけ医をつくることを奨励する高齢になるほど、肥満や高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病が増加することが、厚生労働省による一般定期健康診断の集計結果から明らかにされています。加齢現象と解釈できる面もありますが、これらは新型コロナの重症化のリスクと関連する可能性が専門家によって指摘されています。第二波と呼ばれる流行の拡大は9月後半になっても〝明らかに収まった〞とはいいがたい状況です。気温が下がり、空気が乾燥していく秋冬に再び流行が拡大していくことが懸念されます。高齢社員に症状が出ても保健所などの窓口に相談したくても電話がつながらないといった状況が再燃する恐れがあります。これらの事態を避けるには、高齢社員に対して、内科を専門にする「かかりつけ医」を持っているかをたずねて、そうでなければ、かかり

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