エルダー2020年11月号
59/68

エルダー57中なか込ごめ賢けん次じ 著/日本生産性本部生産性労働情報センター/1300円+税坂本光こう司じ 著/あさ出版/1400円+税大塚 寿ひさし 著/青春出版社/950円+税著者はかつて企業に勤務していた当時から、社内外の企業経営者や管理職にアドバイスを求める機会をつくっていた。営業コンサルタントとして独立後もそのインタビューを継続して、これまでに約1万人から話を聴いたという。本書は、そうしたリアルな声や情報をもとに書かれた、定年退職後に後悔しないための指南書であり、50代から考えておきたいこと、準備しておきたいことなどが綴られている。1万人にインタビューをしたなかで、すでに定年退職している人から多く聞こえてきたのが、「50代を後悔している」という声だったという。どんな後悔なのか。1章は「50代を後悔している12の理由」と題して、後悔の内容を12に分け、それぞれに解説を加えて紹介している。「守備範囲が狭すぎた」、「モチベーションがどうしても湧かなくなってしまった」、「定年後の人生設計をしておくべきだった」などである。これを受けて2章は「12の後悔を防げる4つの心構え」、3章は「50代で始めておくべき9つのウォームアップ」といった構成となっている。中高年社員の戦力化やキャリアづくりに理解を深めたい企業の経営者、人事担当者にとってもヒントが得られる一冊といえるだろう。コロナ禍がもたらした日常の急激な変化に直面し、これからの経営、さらには生き方や働き方に不安を感じている人も少なくないのではないか。そうした人に一読をおすすめしたいのが「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズの著者・坂本光司氏が手がけた本書である。坂本氏は、人を大切にする経営を実践している現場に自ら足を運ぶことをライフワークとしており、数多くの経営者やリーダーたちとの面談を重ねてきた。その際に耳にした、心に響く言葉を一冊にまとめたのが本書。「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズのエッセンスといっても過言ではないだろう。坂本氏が選んだ100の言葉には、より深い理解が得られるように、平易な解説が組み合わされて見開き2ページにまとめられている。少しずつ読み進めることもできるし、気になる言葉をピックアップして、朝礼などの機会に紹介してもよいだろう。もともと約10年前に発刊した書籍の改訂版として企画されたものだが、坂本氏の考え方を反映するために、全面的に書き直されたという。人を大切にする経営に関心がある人はもとより、前を向く力を得たい人にとっても参考になる好著と思われる。グローバル化、デジタル化、人口減少社会への対応、そして働き方改革が求められるなか、コロナ禍において多くの企業でテレワークが進み、これをきっかけにオフィスを縮小したり、移転したりといったニュースも目立つ。この先、働き方や雇用のあり方がどのように変わるのか、興味がある人も少なくないだろう。本書は、見直しの必要性が指摘され続けながらも連綿と続く、「日本型経営」の雇用システムについて歴史をひも解き、これまでの見直しや改革を時系列で検証。そのうえで、長く続いている理由を探りながら、日本の社会・文化に適した雇用や働き方、職場のあり方について、今後の方向性を考察する内容となっている。本書によれば、「日本型経営」とは、一般的には戦後の高度経済成長を支えた日本独特の雇用システムのことで、欧米には見られない「終身雇用」、「年功序列型賃金体系」、「企業内労働組合」があり、加えて「新卒一括採用制度」も大きな特徴の一つという。原点は、江戸時代の経営思想にあるそうだ。現在の制度や雇用慣行がなぜそうなっているのか、長期的な観点から見直すことで見えてくるものがある。自社の雇用のあり方を考える際の参考にもなる良書だ。50代 後悔しない働き方―「勝ち逃げできない世代」の新常識―経営者のノート会社の「あり方」と「やり方」を定める100の指針「日本型経営」の雇用システムから日本が見える中高年社員の戦力化を考える際のヒントも満載「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズのエッセンス歴史を検証し、今後の雇用のあり方を考える

元のページ  ../index.html#59

このブックを見る