エルダー2020年12月号
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特集シニア採用で会社にイノベーションをエルダー9多くの「働くシニア」はフルタイムを希望例えば、シニアの働き方に対するニーズが変化していることにお気づきでしょうか。シニアの働き方は、これまで「無理せず時短で」、「好きなことを仕事に」、「新しいチャレンジ」といったイメージでした。もちろんいまでもこうした働き方を実践しているシニアもいますが、多くのシニア、特に60代前半のシニアの働き方は違ったものになっています。現在のシニアのニーズは、「フルタイム、残業も可」、「正社員希望」、「責任ある立場で、経験・資格を活かしたい」、「働けるかぎり一生働きたい」といった傾向が強まっています。シニア専門人材会社である当社(株式会社シニアジョブ)の主に50代以上のシニア求職者を対象にしたアンケート調査でも、希望勤務日数や希望勤務時間について約8割が「週5日以上」、「1日8時間」とフルタイムの勤務を希望しました(図表1・2)。こうした働き方のニーズからも、50代と60代の差が意識の面でも縮まっていることを感じます。老後資金の不足という経済面の動機もありますが、事情がないかぎりほとんどの50代がフルタイムでの勤務を望むように、多くの60代もフルタイムで、なおかつ責任ややりがいの大きい仕事を求めています。シニアの起業・副業ニーズが拡大また、最新の傾向として、起業や副業など、これまでのサラリーマン像にはない新しい働き方を希望するシニアも増えています。これは改正高齢法がフリーランスや起業といった新しい働き方に触れている影響もありますが、むしろ、以前よりも独立やパラレルキャリア※2が一般的なものとなっていることや、そこにさらに新型コロナウイルス感染症の感染拡大が発生し、シニアにかぎらず自らのキャリアと収入を見つめ直すきっかけとなっていることが大きな要因と思われます。シニアの副業ニーズも、旧来のイメージから大きく変化しつつあります。これまでシニアの「本業」自体が、時短や半分趣味のようなフルタイムではないものだったこともあり、シニア※2  パラレルキャリア……本業の仕事以外に、別の仕事や社会貢献活動等を行い、本業のキャリアと同時に第二のキャリアを築いていくこと週2日以下週3~4日週5日以上不明80.2%11.7%6.9%1.2%図表1 転職・再就職時のシニアの希望勤務日数1日4時間以下1日5~7時間1日8時間不明76.9%6.3%13.2%3.6%出典:株式会社シニアジョブ「シニアの働き方に関するアンケート」(2019年)図表2 転職・再就職時のシニアの希望勤務時間

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