エルダー2020年12月号
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特集シニア採用で会社にイノベーションをエルダー15年齢に関係なく自発的な行動・成果を評価する社風「シニアの方が持つ多くの経験と多くの人脈で弊社の発展に尽力していただきたい―」。そんな思いでシニアの戦力化を実践しているのがコンピュータシステム株式会社だ。1990(平成2)年に創業し、ITインフラのシステム開発やネットワーク構築と運用、サイト運営支援をはじめスマートフォンアプリのソフトウェア開発など幅広い事業を展開している。社員は85人。そのうち9割が未経験者採用だが、独自のIT技術者育成プログラムを持つ。同社人事部の長谷川瑠る華か氏は「高卒者や他業種の転職者を積極的に採用しています。入社後は3カ月間の研修を受けてもらいますが、2週間目ぐらいから実習型の実務研修によってITスキルを修得し、研修後は実務経験を経て数年で一人前のエンジニアに成長します」と語る。その同社が2019(令和元)年、東京都の「東京キャリア・トライアル65」に応募した。経験やノウハウを活かして仕事をしたい65歳以上のシニアと、その経験や知識を活用したい企業を仲介・支援する事業だ。最長2カ月間のトライアル期間があり、その間の派遣人件費や交通費は都が負担し、お互いに合意すれば直接雇用に切り替わる。だが、同社の平均年齢は30歳前後と若い社員が多い。なぜ65歳以上のシニア人材を獲得しようとしたのか。「もともと60歳以上のシニアを3人ほど採用している実績があり、シニアが持つ経験や知見を活かす方法は心得ています。ただ、その人たちは営業がメインだったので、営業以外で活躍してくださる人がいたらいいなと思って東京都を通じて募集しました。特定の職種にかぎらず、『会社の業務の拡大に貢献でき、こちらの指示で動くのではなく、自分で動いて仕事をつくることができる人材』を探していました」(長谷川氏)同社の定年は65歳。65歳以降の再雇用制度もあり、勤務体系は個人で働く時間や曜日を選択できる柔軟な仕組みにしている。またリモートワークも可能だ。もう一つの特徴として、賃金体系はシニアを含めた全社員に、基本給以外は売上げなど成果に応じて支払われる成果型報酬制度を採用している。その点では年齢に関係なく自発的に行動し、自ら成果を生み出すことが求められる社風でもある。シニア人材が提案したHACCP事業プロジェクト同社のトライアル期間は3週間。そこでシニコンピュータシステム株式会社(東京都新宿区)シニアが持つ知恵と経験を活かしシニアが中心となった新プロジェクトを始動

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