エルダー2020年12月号
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特集シニア採用で会社にイノベーションをエルダー17林さんは「私はマーケティングやデザインを中心にやってきたのでITを使うのは大好きですが、プログラミングができるわけでもないし、システムの仕様書も作成したことはありません。自分一人では不安ですし、専門家の加納さんと一緒にやるのが一番よいと考え、インターン中に一緒にやらないかと誘ったのです」と語る。若い社員との垣根をなくすフラットな評価制度こうして事業企画担当の林さんとシステム開発担当の加納さんを中心とするアプリ開発のプロジェクトチームが立ち上がった。メンバーは2人を入れて10人。当然、ほかの8人は2人より若い。メンバーとの連携やコミュニケーションはどのようにとっているのか。「私の役割はシステムの仕様を作成することです。それをもとに若い人たちにプログラミングをつくってもらう。つくりこむ際には、『ああしたらよい』、『いや、こっちのほうがよいのでは』といろいろな意見が飛び交い、まとまらないこともあります。でもそうしたプロセスが大事だと思います。よい製品をつくろうという共通の目標が一致しているからこそ、何でもいい合える関係を築けています」(加納さん)コロナ禍でWeb会議も増えているが、林さんはコミュニケーションに支障はないという。「もともとリモートワークができる会社ですが、新たにZoomが入り、私もそうですが、若い人も開発がやりやすいと思います。Zoomの会議では全員が顔や音声を消していますが、こちらが呼びかければすぐに反応してくれます」林さんが何より高く評価するのは、社員の仕事に向き合う姿勢だという。「一般の企業だと事業目標に対してトップダウンで目標達成を部下に命じる目標管理型のマネジメントが普通ですが、この会社では基本給以外の報酬を得て収入を増やしていくためには、それぞれの社員が立場に関係なく、売れるために自分は何をすればよいかを考えないといけません。報酬方針がシンプルでわかりやすく、若い人も含めてゴールに向けて一致団結できる雰囲気があります」こうしたフラットな組織だからこそ年齢や立場を超えてコミュニケーションできる関係を築いている。若い社員はどう受け止めているのか。長谷川氏は「20代、30代の社員は多いのですが、逆に年長の社員がほとんどいないので教えてもらいたくてもいままで教えてくれる人がいませんでした。2人がいらっしゃってからその穴を埋めてもらい、直接教えてもらえるのでよい刺激になっています」と語る。知識やスキルを活かし働くことが〝働きがい〞を〝生きがい〞にする2人が中心となって開発したHACCPアプリへの期待は大きい。左から加納さん、長谷川さん、林さん

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