エルダー2020年12月号
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2020.1220当面は上場企業として適格かどうかを定める上場審査を通るために、内部統制やコーポレートガバナンスの整備など、不正や不祥事を防ぐ仕組みづくりが必要になる。また、常勤の内部監査役を置かなくてはならない。新興市場への上場であれば専任担当者は置かず、総務や法務部門などの担当者が兼任しチェック体制をしくことも珍しくないが、同社の場合は直接上場になるため、内部監査の専任者を置く必要があった。しかし、監査を行って体制を整えられる人材が社内にはいなかった。マネジメント能力のある人材を養成することに注力する大規模企業と比べて、実務力のある現場のリーダーが求められる中小規模の企業においては、監査体制を整えることができる人材を社内に見出すのは極めてむずかしい。こうした場合、監査を担当できる人材を外部から迎えることが近道だ。シニア人材のマッチング支援サービス「東商人材情報プラザ」を活用そこでアイネットが活用したマッチングサービスが、「東商人材情報プラザ」である。「東商人材情報プラザ」は、東京商工会議所が手がける、主に50歳以上の中高年キャリア人材の移動を支援する事業だ。即戦力となる人材を探している企業と、シニア人材を保有する大手企業とのマッチングを行っている。対象職種は営業関連、管理・事務、技術・研究開発、技能・製造関連、人事労務・総務・経理・財務など、いわゆるホワイトカラーの分野。企業は精力的で経験豊富なシニアのキャリア人材を出向や転籍という形で受け入れることで、自社の経営基盤の強化が期待できる。一方、ベテラン人材を保有する大手企業は、シニア社員に適材適所の再就職先を紹介し、活躍を支援することができる。東商人材情報プラザに登録している大手企業(人材保有企業)は、2020(令和2)年5月時点で23社を数える。アイネットが東商人材情報プラザを利用した経緯は、同社とアンドモアの代表取締役である本郷滋氏が、東京商工会議所千代田支部において副会長を務める縁で、東商人材情報プラザの取組みを知ったことからであった。東京商工会議所の人材・能力開発部人材支援センター副主査の細井悠ゆう輔すけ氏は、同事業について次のように説明する。「東商人材情報プラザの魅力は求人情報の豊富さですが、紙の求人票の枠だけでは伝えきれない情報も多く、そうした情報を実際に面談して交換する場としてイベントを行っています。それが『人材情報交換会』です。企業と人材保有企業の人事担当者が求人に関して情報交換ができる絶好の機会になっていて、年に4回開催しています。双方がしっかり情報を伝え合えるという点は、同事業におけるマッチングの重要なポイントです」2020年度の人材情報交換会は、第1回が2020年6月16日、第2回が9月18日に開催され盛況に終わり、第3回は12月4日、第4回は2021年3月5日に開催される予定だ。本社受付。持株会社であるアンドモアのオフィスも兼ねている

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