エルダー2020年12月号
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特集シニア採用で会社にイノベーションをエルダー21「東商人材情報プラザ」のサービスは、東京商工会議所会員企業であれば採用に至った場合でも手数料がかからないとのこと。なお、昨年のマッチング実績は7件である。シニア人材採用のポイントはキャリアや経験+「人間性」社内監査で管理体制を構築できる人材を探していた浦元室長は、東商人材情報プラザに求人票を登録し、複数の企業から候補者の紹介を受けた。そのなかから、監査業務の経験が豊富な商社出身の人物に決めた。浦元氏自身、もともと大手小売業界などで代表取締役や役員を歴任し、アウトプレースメント(人員の削減対象となった社員に対して、再就職先を見つける支援)にたずさわった経験があり、企業が再雇用したい人材のポイントは「人間性」だと話す。「今回監査役に就任した方は大企業出身者でいながら、実務経験が豊富なところが魅力でした。何よりたいへん温厚な人柄で、威圧的な雰囲気がまったくありませんでした。社長とも面談したうえで正式に決定となりました。さっそく、当面の管理体制における構築プランを充実させてもらっており、社内プレゼンなどの準備も進めています。アイネットだけでなく持株会社の監査役にも就任していて、包括的に監査役をになっています」 ちなみにアイネットは東京商工会議所が展開する再就職支援事業「キャリア人材Next」を利用し、シニア世代の経理担当者1人を採用した実績もある。同事業は再就職を検討する主に50代以上のキャリア人材を対象とした求人情報を、無料で連携企業に情報提供するサービスとなっている。中規模企業の管理体制づくりに「役に立てるなら」と参画を決める2020年8月にアイネットとアンドモアの常勤監査役に就任した菅すが野の良よし巳みさん(63歳)は、日本有数の大手総合商社で41年間、財務分野を歩んできたエキスパート。その間イギリス、オランダでの海外駐在経験もあり、海外法人のCFOや社長を歴任した経歴を持つ。また、財務基幹システムの開発プロジェクトにおいてプロジェクト・マネージャーを務めたこともあるという。6年前に本社の監査部に異動し内部監査にたずさわり、60歳を迎えた2017年から同社のグループ企業に出向。3年間、子会社の監査部で内部監査体制の構築・運営にあたった。「合併した元・大手メーカーの子会社のような企業文化が異なる会社や、親会社が買収した小規模で内部監査体制が未整備な専門商社にも出向し、内部統制の業務にたずさわりました。これらの異文化・未成熟な会社での内部統制の仕事は立ち上げこそたいへんですが、それもまたおもしろいのです」と、菅野さんは柔和な表情で語る。アイネットへの転職の決め手は「私で、お役に立てるのならば」という気持ちからだという。また、今回の転職は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大も大きなきっかけになったという。2020年の2月ころから在宅勤務に切り替わり、行える監査業務は証しょう憑ひょう書類やシステム上のデータチェックなどに限定されて、従来のように監査先へ直接足を運んで現場を視察した常勤監査役に就任した菅野良巳さん

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