エルダー2020年12月号
25/68

特集シニア採用で会社にイノベーションをエルダー23業界の「35歳・40歳定年説」を覆くつがえし定年まで現役で働ける会社に株式会社ボールドは、2003(平成15)年に設立。SES(システム・エンジニアリング・サービス)といわれるITエンジニア人材サービスを展開し、官公庁から一般企業まで幅広いユーザーを顧客に持つ。同社に所属するSE(システムエンジニア)が顧客企業に常駐して働く事業形態だが、全員正社員として雇用しており、現在約530人が在籍している。平均年齢は36歳。近年は新卒採用にも力を入れているが、中途採用を活発に行っており、中高年も多く、全体の約3分の1が40代以上である。定年年齢は65歳。65歳以降も雇用を希望する場合は、契約社員として雇用を継続する。同社が目ざしているのは、「定年まで現役で働ける会社」だ。ITエンジニアの世界では、「35歳定年説」や「40歳定年説」といわれるように、中高年エンジニアが現場で仕事を続けるのがむずかしい現実がある。澤田敏さとし代表取締役社長は、そうした現状を変えるために同社を立ち上げた。「日本のIT業界では、SEやプログラマーが、現場の仕事を続けたまま正社員として定年まで働ける会社はほとんどないといってよいでしょう。新しい技術を学ぼうとしない中高年エンジニアがいるのも事実ですが、40歳を超えると、『年上は扱いづらい』などといわれ、現場から外されてしまうためです。もちろん、プロジェクトマネジャーを目ざす人もいますが、『マネジメントは苦手だけれど、技術で生きていきたい』という人の道が閉ざされています。そのことに憤いきどおりを感じ、そういう会社がほとんどないのなら自分でつくろうと、この会社を立ち上げました」(澤田社長)社員が自ら目標を立てて取り組み成長していける仕組みを用意エンジニアとして幸せをつかみ、定年まで活躍するには何が必要かを考え抜いた澤田社長は、いくつかの特徴的な制度をつくり上げた。①自ら目標を立てさせ、結果を評価に反映同社には、毎月、大手企業出身者を含む多数の応募がある。その理由を澤田社長は「評価制度が他社との差別化になっている」と明かす。一番の特徴は、半年ごとに自ら目標を立て、その結果を評価に反映する仕組み。同様の制度を取り入れている会社は多いが、うまくいっている例は多くはない。その原因の一つに、ハードルの高い目標を掲げて達成しないと評価が下がる株式会社ボールド(東京都港区)経験豊富なシニアと業務委託契約を結びITエンジニアを支える「専任コーチ」に

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る