エルダー2020年12月号
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2020.1224ので、そこそこの目標を立てるようになることがあげられる。また、目標と評価・給料との関係が明確でなく、評価結果に納得感が得られない例も多い。一方、同社は絶対評価で、「評価がAだったら〇〇円昇給する」と決まっている。また、高い目標ばかり立てなければならないわけではなく、「今回は中くらいの目標二つ、低い目標二つにして、高い目標は一つだけねらう」など、自分で決めることができる。当然、目標のレベルによって達成したときの点数は異なるが、評価との関係が明確でわかりやすい。目標の内容も特徴的で、業績や顧客満足にかかわることだけでなく、資格取得やマネジメント能力向上といった「自己研鑽」、自主勉強会の主催など「他者に影響を与えること」も、達成されれば評価・昇給に反映される。②自主参加型研修「感動大学」目標を達成していく実力を身につけさせるため、毎日20〜22時に、「感動大学」という自主参加型の研修を開講している。技術力はもちろん、ビジネススキル、マネジメント、メンタルヘルスなど各分野のプロの講師による年間約200講座のプログラムを無料で受講できる。ここで技術力と人間力を高め、主体的に成長していってもらう考えである。③意欲を高める帰社日「BボールデーOLDay」帰属意識や自ら学ぶことも必要だ。そのために行っているのが、「BOLDay」と呼ぶ帰社日。普段は各々の担当企業に常駐している社員たちが、毎月第3金曜日の夜に集まる。そこで行われているのがディスカッションだ。5〜6人ずつに分かれ、「人間力のあるエンジニアは、顧客先でどのような行動をするか」といったテーマで議論する。その結果、帰属意識や自ら学ぶ意識が高まり、いろいろな人とのコミュニケーション・人間関係も生まれた。また、「仲間がいるから」、「共に成長するために」と、多くの社員が「感動大学」にも参加するようになった。毎日1〜3コマの授業を行っているが、仕事を終えた社員たちが各講座に平均20〜30人、最高で60人参加する日もある。経験豊富なシニアが一人ひとりの成長を支援する「専任コーチ制度」自ら立てた目標を達成しながら給料とチャンスを得ていく評価制度、主体的に学べる環境、仲間とともに成長していく文化を築いた同社が、もう一つ必要と考えたのが「コーチ」の存在だ。「学生の間、どうして勉強やスポーツをがんばれたかというと、期限つきの目標があったからです。ゴールのないマラソンはがんばれません。テストや試合日という期限があったから、逆算して毎日の勉強量や練習量を決め、努力することができたのです。では、だれが1日の勉強量や練習量を決めていたかというと、自分で決められる人は少ない。それを考えてくれていたのが、教師や監督、コーチです。しかし、社会人にはコーチがいません。上長はいますが、プロジェクトは無数にありますので、たいしてマネジメントできていないのです。だから、人生経験豊富なシニアがコーチとなる『専任コーチ制度』をつくりました」(澤田社長)コーチは、社員一人ひとりに対してマン・ツー・マンで成長を後押ししていく。まず行うのは目標設定のサポート。同社では半年に一度、3年後のありたい姿を掲げ、それに向けて直近半年間の目標を定める。目標を立てるのは本人だが、その目標が適切か、数値化できる具体的な目標になっているかをコーチが確認し、「こういうことをがんばるといいよ」などと助言する。そして、月1回、個別ミーティングを行って進捗をチェックしながら「伴走」する。仕事やキャリアの悩み相談にも乗り、客先で孤独になりがちなエンジニアを心の面からも支える。定例のミーティングだけでなく、メールやチャッ

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