エルダー2020年12月号
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特集シニア採用で会社にイノベーションをエルダー272006年には、岐阜県中津川市の本社敷地内に、西洋野菜「チコリ」をテーマにした農業・商業・観光・文化・教育活動の一体型施設「ちこり村」をオープンした。その少し前から、休耕地を活用し、地元農家と競合しない農作物としてチコリの栽培を始めており、「ちこり村」は同社が目ざしている食料自給率の向上や循環型農業の実践、地域が抱える休耕地対策や高齢者雇用、地域活性化の課題解決に向けた取組みを実践する場でもある。村内には地域の人たちが集える公民館的なスペースも設けており、『地域を元気にしたい』という思いを込めて「ちこり村」を運営していると、同社営業本部営業部長兼物流部長兼広報部長の川口康こう三ぞう氏は語る。「ちこり村」は開設当初から、他社を定年退職したシニアなどを積極的に採用しており、村内のいたるところでシニア従業員がさまざまな積極的に多くのシニアを雇用「ちこり村」で働く66%は60歳以上株式会社サラダコスモは、1945(昭和20)年に創業した「中田商店」が前身。当時はラムネの製造・販売をメインに、冬の閑散期に副業として、もやしの生産を行っていた。1978年に現社長の中なか田だ智とも洋ひろ氏が社長に就任すると、1980年にラムネ製造・販売から撤退し、無添加・無漂白のもやし生産に注力。さらに無化学肥料によるスプラウト栽培や有機種子を使ったもやし栽培など、「安全・安心・食べて健康」をテーマとした、農薬や化学肥料を使用しない発芽野菜を中心とした生産・販売事業に取り組み、実績を積み重ねながら社会貢献を追求して事業を拡大。1990(平成2)年に現在のサラダコスモへと社名を変更した。役割をになって働いている。現在、「ちこり村」では86人の従業員が働いており、60歳以上が57人と全体の約66%を占めている。個別対応で無理のない働き方を実現70歳以上も33人が勤務を続ける「ちこり村」のある岐阜県中津川市の2015年の高齢化率(65歳以上の割合)は31%で、すでに人口の3割を超えており、全国平均26・6%よりも大幅に高い。この先も上昇することが予測されているが、定年退職をした人たちが再就職する場がほとんどないことが地域の課題の一つとなっている。そこで同社は、「定年退職をした後も元気に働き続けることができれば、シニアから生産者になる」、「シニアが元気に働く姿は、未来への希望へつながる」と考え、「ちこり村」の開設時から、60歳以上の従業員株式会社サラダコスモ「ちこり村」(本社 岐阜県中津川市)前職などでつちかった経験を活かし活き活きと働くシニアが地域を元気にする

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