エルダー2020年12月号
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特集シニア採用で会社にイノベーションをエルダー29会社員時代は全国を飛び回る営業マン。その経験を焼酎の販売、接客に活かし、「自分でノルマを設定して、自らに負荷をかけて仕事に臨んでいます」と話す。お客さまとのコミュニケーションを大切にし、試飲時の説明や接客に工夫を凝らして売上げを伸ばしている。石原さんは大手電機メーカーで技術職を定年まで勤めた後、2年ほどのんびりしていたものの再び仕事をしたいと思ったときに「ちこり村」を知り、再就職した。石原さんは主に家電製品の製造を担当しており、ものづくりの現場のことは熟知しているが、焼酎づくりの現場はもちろん初めてだったそうだ。「覚えるまではたいへんでしたが、だんだん焼酎づくりに魅せられました。お客さまから、『詳しく教えてくれてありがとう。買っていくよ』といっていただけると嬉しくなります」(石原さん)焼酎蔵での作業は、毎月3人が勤務日の希望を出し、豊岡蔵長がそれに合わせて作業の予定を立てて取り組んでいく。3人とも8時から16時までの勤務で週2〜3日出勤している。豊岡蔵長は、3人の仕事ぶりについて次のように話す。「小倉さんとは15年間仕事をしていますが、まったく変わらず、真剣に焼酎づくりに取り組み、また、体力は私よりあるくらいで、頼もしい存在です。大橋さんは、営業マンの経験をフルに活かして、PRや接客の技は天下一品。大橋さんのファンもいるほどです。かつて市場開拓をされていた経験も活かし、いろいろなアイデアを出して実践してくれています。石原さんは技術職を長く経験され、几帳面な性格できっちりと仕事をしてくれます。図面を書いたり、蔵で作業がしやすいように物の位置を整えたりして作業環境の向上にも貢献してくれています」長く働き続けるために大切にしていることは「会話」、「挑戦」、「学び」、「健康」「ちこり村」のマルシェでにこやかに接客する吉村みどりさん(70歳)は、大橋さんや石原さんと同じ電機メーカーなどを経て、書店で定年まで勤めた後、60歳で「ちこり村」に再就職して11年になる。電機メーカーではパソコンを扱う事務職を、その後は接客を経験している吉村さんは、その特技とほがらかな性格から、主に販売と工場見学のガイドとして活躍。適応力が高く、「季節ごとに五ご平へい餅もちを販売したり、ソフトクリーム屋さんになったり、お弁当づくりや調理の下準備など、いろいろな仕事をこなして、みんなから頼りにされています」と川口部長は吉村さんの仕事ぶりを語る。吉村さんは8時から17時までの勤務時間で、月15日ほど出勤している。「休みの希望を聞いてもらえるので、働き続けることができています」と吉村さん。4人が長く働くうえで大事にしているのは、「言葉を交わしてキャッチボールをすること」(小倉さん)、「『一生挑戦』がモットーです。孫もサラダコスモに入社しましたが、まだ負けないぞ、という気持ちです(笑)」(大橋さん)、「学ぶ姿勢です」(石原さん)、「健康であることです」(吉村さん)とそれぞれに話してくれた。「ちこり村」では、多くのシニア従業員がそれぞれの働き方で活き活きと働き、地域が抱える課題解決に向けて大きな貢献を果たしている。これもまた「イノベーション」の一つの形である。後列左から小倉さん、豊岡蔵長、前列左から大橋さん、石原さん、吉村さん

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