エルダー2020年12月号
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2020.1236はじめに〜考慮すべき二つのポイント〜1今回は連載の最終回です。これまで説明したことをふまえて、高齢社員の賃金制度を具体的に考えてみます。その際に考慮しなければならない重要なポイントが二つあります。第一は、高齢社員は定年を契機に正社員から非正社員に転換するものの、継続して雇用される社員であるので、賃金は定年前の賃金に目配りして決める必要がある、ということです。連載の第4回では、正社員の賃金の現状と変化の方向を説明し、そのなかで次のことを強調しました。現状の代表的な賃金制度である年功賃金をとる場合には、定年時の賃金が成果を上まわるので、高齢社員の賃金を決めるにあたっては、この上まわる払い過ぎの部分を調整する必要があります。それに対して変化の方向にある成果主義型賃金をとる場合には、定年時の賃金は成果と一致するように決定されるので、年功賃金の場合に行う払い過ぎの部分の調整は必要ありません。第二は、高齢社員は正社員とは異なる特性を持つ社員なので、それに合わせた賃金制度を設計する必要がある、ということです。この点については連載の第5回で、高齢社員は期待されている雇用期間が短いので短期雇用型社員という特性、働く場所などの働き方に制約があるので制約社員という特性を持つ社員であるため、賃金制度は二つの特性に沿って決める必要があることを説明しました。※ 第1回(7月号)~第5回(11月号)はホームページでご覧になれます。エルダー 高齢社員の賃金戦略検索 高齢者雇用を推進するうえで重要な課題となるのが高齢社員の賃金制度です。豊富な知識や経験を持つ高齢社員に戦力として活躍してもらうためには、高齢社員の能力や貢献を適切に評価・処遇し、高いモチベーションを持って働いてもらうことが不可欠となります。本連載では、高齢社員戦力化のための賃金戦略について、今野浩一郎氏が解説。いよいよ今号で最終回となります。高齢社員の学習院大学名誉教授 学習院さくらアカデミー長 今野浩一郎いま  の最終回高齢社員の賃金制度の設計と課題

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