エルダー2020年12月号
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るのではなく、労働者の能力全般を評価して賃金を決定することを前提としており、基本的な発想として、賃金や役職が下がることは想定しがたいといえます。一方で、成果主義的な人事考課制度とする場合には、職務給的な発想が必要となり、労働者がたずさえている能力全般ではなく、現在遂行している職務や役割に応じて賃金を決定し、職種の変更などに応じて賃金の変更(ときには減額)をともなうことも想定されていなければなりません。また、同一労働同一賃金への対応を含めて、労働条件や賃金制度の見直しが必要となっていますので、人事制度を見直す企業も増えているように見受けられます。就業規則への影響2人事制度の見直しにおいて、職能給的な制人事制度の見直しについて1日本においては、終身雇用および年功序列による賃金体系などが一般的に採用されていることが多く、これらは成果主義とは異なり、長期的な雇用継続を視野に入れたうえで、勤続年数に応じた賃金の昇給が予定されています。一方で、雇用の流動性も高まりつつあるため、終身雇用および年功序列による旧来型の賃金体系を維持し続けることの合理性も失われつつあります。むしろ、企業における競争力を強化するためには、能力や成果に応じた賃金体系により、勤続年数以外の要素が重視されるべきともいえます。旧来型の終身雇用および年功序列による人事考課制度については、職能給的な発想で運用されており、現在遂行している職務に応じ就業規則の変更による労働条件の不利益変更には、必要性と合理性が必要とされます。変更前と変更後を比較して、変更の程度が合理的といえる程度に抑えておかなければ、就業規則の変更自体が無効と判断される可能性があります。A第31回 人事制度の見直し、定年後再雇用制度の改定弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。2020.1242知っておきたい労働法 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA& 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は&Q就業規則・賃金規程を変更する際の留意点について知りたいこのたび、人事制度の見直しにともない、就業規則や賃金規程の変更を検討しています。既存の従業員の労働条件の変更も必要になるのですが、どのような点に留意する必要があるでしょうか。Q1

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