エルダー2020年12月号
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エルダー53FOOD日本史にみる長寿食食文化史研究家● 永山久夫風邪に負けるなホウレンソウポパイはなぜ強いのかポパイは強い! 巨漢に襲撃されて大ピンチになると、ポケットから取り出した缶詰めのホウレンソウを食べます。すると、ポパイの腕の筋肉がむくむくと山のように盛り上がって、怪力を発揮するのです。次の瞬間、ポパイのアッパーカットで巨漢はノックアウト。実に痛快です。これはアメリカマンガのひとコマですが、ホウレンソウがいくらすばらしい野菜といっても、これほどの即効性はありません。ホウレンソウの豊富な栄養を、ポパイを通して、マンガ的にオーバーに表現したものです。ホウレンソウを常食すると、ポパイのように強い男になれますよ、という効果をアピールしたかったのだと思います。事実、ホウレンソウは栄養の宝庫です。β-カロテンをはじめビタミンB1、B2、B6、C、E、K、ナイアシン、葉酸に加えてミネラルではカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛など。さらに、腸の環境を整えて善玉菌を増やし、免疫力を高める食物繊維もたっぷり。緑黄色野菜のなかでもトップクラスの、長寿効果の高い野菜といってもよいでしょう。免疫力を強化しようホウレンソウは1年中出回っていますが、旬は冬です。ビタミンCの含有量(100gあたり)を調べてみても、冬場は60mgなのに対して、夏物の場合は20mgしか含まれていません。また、人間の老化はくい止めることができませんが、老化現象の出現を先送りして、遅らせることは可能です。つまり、アンチエイジングです。老化の進行と深くかかわっているのが、活性酸素の攻撃による細胞の酸化、つまりサビ化現象。これを防いでいるビタミンがビタミンC、E、β-カロテンの若返りトリオです。この三大抗酸化ビタミンがホウレンソウにはたっぷり含まれています。特に旬を迎える冬期の、葉が濃緑色で肉厚なホウレンソウなら理想的です。冬は風邪やインフルエンザの流行する季節ですが、今年はコロナ禍も終息していません。常に病原菌に対する免疫力を強くしておくためにも、ビタミンCを欠かさないようにしましょう。326

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