エルダー2020年12月号
58/68

2020.1256※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します佐藤博ひろ樹き、武たけ石いし恵美子 責任編集/坂さか爪づめ洋ひろ美み、高たか村むら 静しずか 著/中央経済社/2500円+税小こ室むろ淑よし恵え、天あま野の 妙たえ 著/PHP新書/880円+税シリーズ ダイバーシティ経営管理職の役割男性の育休家族・企業・経済はこう変わる子どもが誕生した直後の父親に対する新たな育児休業制度の創設に向けた検討が、厚生労働省で進められている。背景には、現在の若手男性社員の8〜9割が育児休業の取得を希望しているものの、実際の取得率は7%台という水準にとどまっているからだ。社会の意識や企業の風土を変えていく制度をつくり、男性の育休取得を促進するねらいがある。本書は、男性の育休に関する基本的な制度や知識から、取得が広がらない実態と要因、今後の方向性までまとめた一冊。著者の専門分野であるダイバーシティ推進や働き方改革からの知見と豊富なデータ、企業事例を交え、男性の育休と少子化対策の関係、男性の育休にまつわる七つの誤解、男性育休が企業や個人にもたらすメリットなどを紹介し、企業に対する男性の育休の周知義務の必要性や施策も述べている。男性が育休を取りやすい制度や企業風土が、優秀な若手人材の採用や定着をはじめ、周囲の社員や部下の成長、上司のマネジメント力の向上などさまざまなメリットをもたらしている事例が特に興味深い。高齢者雇用を推進するうえでも参考になる点が多く、経営者や人事労務担当者におすすめしたい。ワーク・ライフ・バランス研究の第一人者・佐藤博樹氏が、女性労働の研究者として著名な武石恵美子氏とともに責任編集者を務める新シリーズの刊行がスタートした。人材に対する企業の考え方が変化を見せるなか、「ダイバーシティ経営の基本書」として、その主要な論点を取り上げ、経営者や人事労務担当者をはじめとした関係者に向けて、有益な情報を提供することをシリーズ刊行の目的として掲げている。この巻では、職場レベルでのダイバーシティ・マネジメントに着目し、その中核的なにない手となることが期待され、ダイバーシティ経営の成否を左右するキーパーソンといわれる管理職に焦点をあてた。具体的には、「ダイバーシティがもたらす影響と管理職」、「管理職の役割」、「管理職が直面する課題」、「部下のワーク・ライフ・バランスの支援」などの切り口により、課題と解決策が示されている。高齢者雇用の推進も含めて、これから職場のメンバーの多様性が高まることは間違いない。この巻に続いて、「多様な人材のマネジメント」、「女性のキャリア支援」、「仕事と子育て・介護の両立」などが予定されているこのシリーズを、本コーナーでも順次紹介していきたい。職場レベルでの取組みを主導するキーパーソンに焦点をあてる企業や個人にもたらすメリットや新制度創設に向けた動きも紹介

元のページ  ../index.html#58

このブックを見る