エルダー2021年1月号
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2021.18て、基本的には働く方法を検討するためのものになります。しかしながら、事業者の立場でいえば、病気のことはほとんどわからないので、どのように対応したらよいか見当がつかないことになると思います。そのために主治医から意見書をもらう枠組みになっています。主治医には、仕事の内容をしっかりと伝え、「就業継続のためのヒント」をもらうようにすると本来の目的に即した対応になります。決して、辞めさせるなどの不当な取扱いをするためのエビデンスの収集に主治医を利用しないようにしてください。2決めつけて押しつけがましい支援を行わないようにしましょう「高齢者だから体力がないに決まっている」や「病気をしたから仕事をセーブしたいに決まっている」と決めつけることは望ましくありません。本人が配慮してほしいことを先に確認してから、支援を決定する必要があります。3労働者が申し出しやすい環境を整備しましょう病気になった労働者は、ほかの人に迷惑をかけるのではないか、ほかの人に知られることで不利益に取り扱われるのではないか、といった自他に対する影響を心配するあまり、病気であることや配慮してほしいことを申し出しにくいことがあります。具体的な担当者を決めることや、両立支援を申し出たら配慮の内容を検討する流れがスタートするなど、両立支援の仕組みを明示することが必要です。4意思決定の支援を行いましょう多くの労働者は急に大病を患わずらっただけでもたいへんな状況なので、職場や主治医から必要な情報を収集したり、問題点を整理したり、自分にしてほしい配慮事項を考えたり、そのときどきに応じた適切な対応を行うことは容易ではありません。したがって、そのプロセス全体を支援できるような制度設計をすることが必要になります。5具体的な配慮事項を検討しましょう職場には、過去の前例や仕事の内容などによって、配慮できることとできないことがあります。その職場でできる配慮について、労働者は知らないことが多いです。そのため、労働者に仕事を与えている上司が、配慮の中身を具体的に一緒に考えることが必要です。したがって、基本的には元職に戻ることを前提にいったんは議論を行うことになります。元職で対応できな出典:内閣府『平成29年版高齢社会白書』図表 65歳以上の受療率(人口10万対比)男女65歳以上65~69歳70~74歳75歳以上65歳以上65~69歳70~74歳75歳以上入院総数27861618211040362881110215684311悪性新生物(がん)395282385483203146182240高血圧性疾患113420242444心疾患(高血圧性のものを除く)15269992441632353279脳血管疾患398190277621434100162714外来総数10327782110266121691087287611122411741悪性新生物(がん)487345486590245247263236高血圧性疾患13731014132416611682109314622062心疾患(高血圧性のものを除く)384226323535280122183399脳血管疾患26614722337821587144308脊柱障害975549963129096158510301114

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