エルダー2021年1月号
12/68

2021.110重要です。場当たり的に対応し、漫然と短時間勤務が続くようなことは労使にとってあまりいい関係にならないことがあります。短時間勤務制度を利用する際には、両立支援(職場復帰)プランを作成し、計画的に段階的な職場復帰になるようにすることが一般的です。5在宅勤務(テレワーク・リモートワーク)新型コロナウイルス感染症により一般化した在宅勤務は、両立支援をするうえでもたいへん高い効果を示します。自宅や入院先で仕事をするケースなどが想定されます。自分のペースで仕事ができる在宅勤務は労働者にとって負担が減る一方で、労務管理がむずかしくなるという側面もあります。押さえておきたい公的支援また、企業以外が実施している制度を活用する方法もあります。1医療費軽減のための諸制度がん治療などはとても高額になりますが、年収に応じて医療費の上限が定められています。しかしながら、手続きをしなければ初回治療時にいったん医療費の3割を支払う必要があります。最近の医療費は高額であるため数十万〜数百万円に及ぶこともあります。これを回避するために「限度額適用認定証」※4を利用すれば、初回から自己負担限度額ですみます。これらの情報を事前に知らせておくことで安心して治療に向かうことが可能になります。2傷病手当金の利用病気で仕事ができない間、健康保険組合から支給を始めた日から1年半にわたり給与の3分の2程度が支払われます。傷病手当金については以下の3点に注意が必要です。◦病気休暇中は会社から給料が出て、病気休職に入ったら健康保険組合から傷病手当金(後述)になる、といった制度の場合、労働者が知らずに傷病手当金をもらい損ねるケースもあります。◦傷病手当金は休み始めてから4日が経過しないともらえません。病気に関することで、休まずに会社を辞めるとその後傷病手当金がもらえないことがあります。したがって、従業員が急に辞めるといっても、傷病手当金について説明することが重要です。◦一つの疾病に対して使えるのは1回かぎりで初めて支給された日から1年半となります(社会的治癒がある場合を除く)。したがって、経過の長い疾患の場合、どのタイミングで利用するかというのはたいへん重要になります。3産業保健総合支援センターの活用基本的には事業場からの相談を受けつけます。両立支援対策にくわしい産業医や保健師、社会保険労務士などの産業保健相談員や両立支援促進員が事業場からの相談に応じて対応できます。4がん相談支援センターの活用基本的には患者からの相談を受けつけます。がん診療拠点病院に設置されており、当該病院以外の患者であっても相談を受けつけています。5人材確保等支援助成金の利用中小企業が従業員の離職防止の環境整備を行ったり、実際に就業継続を行った場合などに支給される助成金で、ハローワークが窓口になっています。6ハローワークの活用事業場の規模が小さく配慮転換余地が少ないなど、どうしてもその事業場では病状がマッチせず、仕事を準備できない場合などにおいては、ハローワークを紹介し再就職支援を行うことも支援の一つの方策としてあり得ます。※4 限度額適用認定証……加入している健康保険組合などに、事前に申請することで交付される

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る