エルダー2021年1月号
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2021.112ともに、家族や職場への負担も心配になると思われます。一人ひとり置かれている立場や状況は異なりますが、おそらく初めての大病でもあり、何から何までどうしていいかわからなくなると思います。経過や治療内容に関しては主治医に聞くことになりますが、経済的な不安や職場への報告の仕方、仕事はどれだけ続けられるかなど、自分一人では解決できない問題も出てきます。インターネット上には体験談やさまざまな情報があふれていますが、一人ひとり進行度や状況は異なります。医学的に根拠のない民間療法に誘導される危険もあります。抗がん剤治療も高額になりますが、病院には経済的な相談をする部署もあり、メディカルソーシャルワーカーが対応してくれることが多いと思われます。社会資源の利用では、自己負担限度額を超えて支払った医療費の払い戻しができる「高額療養費制度」※1や、「限度額適用認定証」(10頁参照)の発行などがあります。また、休業中の「傷病手当金」(10頁参照)や医療費控除のほか、障害者手帳の対象となるかの確認も必要です。仕事に関する相談ができる窓口があるか、かかっている病院に確認するとよいでしょう。職場での対応は、すでにがんになった方が働いている場合や両立支援に取り組んでいる場合はあまり問題ないと思われます。ただ、ほとんどの職場ではどのように対応していいか、どこまで仕事を任せていいか、判断に迷うと思われます。主治医の意見書に基づき復職プランがつくられることになりますが、例えば「復職可能、ただし軽作業にかぎる」というような診断書をもらっても困るだけです。治療の状況や就業継続の可否、職場での配慮事項などを含む診断書※1 高額療養費制度……医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1カ月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度。上限額は、年齢や所得に応じて定められている出典:厚生労働省『事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン』(2020年)参考1 勤務情報を主治医に提供する際の様式例参考2 治療の状況や就業継続の可否等について主治医の意見を求める際の様式例(診断書と兼用)

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