エルダー2021年1月号
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特集高齢期まで元気に働くための「治療と仕事の両立支援」エルダー17務、試し出勤制度などがあるのかどうか、就業規則を確認しておく必要があります。■両立支援コーディネーターと支援方法治療中であれば、両立支援の希望はむしろ医療機関で最初に聞かれる場合が多いのですが、医療機関もまた職場のことには不慣れです。ついつい「まずは病気の治療が優先でしょう。両立は治ってから考えたらどうですか」といったことになりがちです。そこで、医療側にも両立支援を普及させる目的で両立支援コーディネーターが養成され、多くの医療機関に配置されつつあります。そして支援に対する新たな診療報酬も設けられました。両立支援の流れは、コーディネーターが罹患労働者の希望、仕事内容、置かれている環境などについて、労働者自身がきちんと整理して主治医に伝えられるように支援し、医師にはそれに見合った治療計画や療養上の留意事項について考えてもらい、職場にはその情報を共有してお互いに無理のない持続可能な配慮を一緒に考えてもらうというものです。このやりとりは厚生労働省から出された『事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン』(13頁参照)に書かれていますし、『企業・医療機関連携マニュアル』※2には、いくつかの代表的な事例を用いて、両立支援プラン・職場復帰プランの具体例が記されています。現在、労働者健康安全機構では、両立支援のさらなる充実に向け、両立支援コーディネーターの養成研修を行っています。2020年末までに7千人程度の受講修了者が誕生する予定ですが、まだまだ十分ではありません。これまでの受講者は医療機関、事業場、公的機関その他に所属される方が約3分の1ずつでしたので、将来的に各立場のコーディネーター同士の連携が進めば、産業保健分野と協力して両立支援の輪が広がるのではないかと期待しています。職場で労働者からの申し出があったときは、まずその方の業務内容とご本人がどう働きたいかを一緒に確認してください。聞き慣れない病名や症状や障害もあるでしょう。どうしたらいいかわからないときは、まず先入観を捨ててください。思い込みや誤解を避けて、どんな配慮が有効かを考えるうえで一番よい方法は、ご本人と一緒に医療機関で三者面談を行うことです。それがなかなかむずかしい場合でも、労働者の同意を得たうえで、情報共有のためにコーディネーターを上手に役立ててください。コーディネーターは罹患労働者の代理人ではありませんが、本人の考えを一緒に整理して前進していくための後押しをするサポーターです。脳卒中とは脳の血管に破綻が生じた結果、その流域の脳組織に障害が生じ症状が出ます。その血管の病態によって大きく「脳梗塞」、「脳内※2 「企業・医療機関連携マニュアル」……https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000609405.pdf01020304050(%)片麻痺構音障害意識障害失語半側無視感覚障害頭痛歩行障害嘔気嘔吐めまい運動失調注視麻痺半盲嚥下障害痙攣失認失行精神症状49.323.520.117.414.17.06.84.64.53.93.12.82.32.20.60.60.3出典:中山書店『脳卒中データバンク2015』より図表2 脳卒中の神経症状発症頻度

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