エルダー2021年1月号
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2021.136承すべき、とアドバイスしました。また、独自に『たのしいおうちづくりの学校』という技能訓練学校を開設していますが、社員の高齢化が進み、実際に工事をになう大工・職人の数が減少していることをふまえ、この学校の講師に工事部門の高齢社員を任命することで、彼らの技能や経験が十分に活かされ、モチベーションの向上にもつながる点をお伝えしました」(鈴木プランナー)そのほか、一般的に伝承がむずかしいとされている営業スキルについては、具体策としてマニュアル化やロールプレイングを活用したOff-JTをすすめたそうです。ロールプレイングの様子を映像で残すことにより、高齢社員が長い経験のなかでつちかったさまざまな場面における営業話法を、会社の資産として持つことが可能となるとアドバイスしました。今回は、70歳を超えた現在も営業の最前線で活躍する高齢社員に、お話を聞きました。お客さまに喜んでもらえる仕事は楽しい新に井い山やま一いち雄おさん(71歳)は、45歳で営業職として入社し、今年で勤続26年です。定年後も変わらず営業担当として週5日フルタイムで勤務し、展示場案内、訪問活動、間取りのプラン作成、資金計画、着工前の打合せを行い、引渡し後のアフターケア支援および住宅建設にかかわる人材の育成・就職支援に貢献したとして、スモリ工業は2017年に仙台市が表彰する仙台「四方よし」企業賞優秀賞を受賞しました。「エイジレス」に活躍できる職場スモリ工業の定年年齢は、65歳。2013年に60歳から65歳に定年延長しました。「当社はもともと住宅建築企業としては中途退職者が極めて少なく、必然的に高齢者比率が高まったということで、あえて『高齢者だから』というくくりや期待は特別ありません。リタイアする時期は自らが悟って決めるといった状況です。年齢に関係なく働く気があれば働き続けることができる企業です」(山本室長)定年後も勤務時間や給与、待遇面で大きな変更はないそうです。鈴木プランナーは2015年11月に、初めてスモリ工業を訪れました。「スモリ工業は大きく営業部門と工事部門に分かれますが、営業部門の社員は基本的に『エイジレス』であり、高齢者ほど独自の営業スタイルを確立し、若手社員を凌りょう駕がするほどの営業成績をあげています。高齢者の営業スキルは、会社にとって貴重な経営資源であり、これを次世代にぜひ伝を獲得することにより、真の繁栄を実現することがスモリの家の思想の目ざすところです」仙台「四し方ほうよし」企業賞優秀賞を受賞スモリ工業の取組みには、お客さまから信用を得るためのほかにはない試みが多いのも特徴です。2001年に、地震や台風の擬似体験ができる「ハウス・スタジアム」を開設しました。2002年には業界初となる宿泊体験ができる展示場をスタートさせるなど、自社開発した技術を体感してもらうという、顧客目線で考えた営業活動を行っています。一方で、ものづくりにかかわる人材育成にも力を入れており、2016年には廃校となった小学校を活用した「たのしいおうちづくりの学校」を開校しました。展示施設に加えて実際に施工体験ができる施設で、地域の小中学校や県内の工業系高校の生徒が訪れて家づくりを体験するほか、一般のお客さまや企業の見学、研修も受け入れています。さらに、東北の風土に根ざした住宅設計技術の普及を目的とした宮城県建築士会主催の「大工塾」や、宮城県土木部主催の「おうちづくりの学校見学会」の会場としても利用されています。こうした活動が認められ、大工を目ざす人たちへの技術

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