エルダー2021年1月号
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エルダー39データでみるエイジフレンドリーな職場が必要な理由さまざまな統計データを基に、エイジフレンドリーな職場が、いま必要な理由をみていきます。■さまざまな業種で高齢者が増えている図表1に示す通り、60歳以上の雇用者数について業種別に2008年と2018年を比較すると、保健衛生業2・6倍、商業1・6倍、建設業1・3倍、製造業1・2倍と増加しています。さまざまな業種で、高齢者に適した職場環境づくりが求められていることがわかります。■高齢になっても働きたいと考える人が増えている35〜64歳の男女を対象としたアンケート調査※2によると、60歳を過ぎても働きたいと考えている人は81・8%をも占めています。さらに、65歳を過ぎても働きたいと考えている人は50・4%と半数を占めており、このような"次の時代の高齢者"においても高齢になっても働きたいと考える人が多く、長期的にみても、高齢者が快適に働き続けることができる職場環境づくりの必要性が示されています。■高齢者は労働災害にあいやすい高齢者の労働災害発生率をみると、60代後半は、労働災害発生率が最も小さい20代後半と比べ、男性で2・0倍、女性で4・9倍とかなり高くなっています(図表2)。この主たる原因には、筋力の低下、バランス感覚の低下など、加齢にともなう心身機能の低下があげられます。■高年齢の男性は墜落・転落災害、女性は転倒災害が多い高齢者の労働災害を災害の種類別(事故の型別)にみると、男性は、墜落・転落災害が若年者と比べ約4倍と非常に高く、一方女性は、転倒災害が同約15倍と著しく高くなっています(図表3)。男性の墜落・転落災害は建設業に多い一方、女性の転倒災害は、スーパーマーケットなどの小売業に多く、業種特性に応じた職場づくりが必要となります。■再就職したばかりの高齢者の被災が目立つ年齢階層別の労働災害発生率を雇用1年未満と1年以上で比べてみると、いずれの年齢階層でも1年未満が高く、特に、50歳以上が高くなっています(図表4)。これは、再就職先での新たな作業に慣れていなかったり、高齢者の特性※2 内閣府『高齢期に向けた「備え」に関する意識調査』(2013年)※3 千人率……年間の労働者千人当たりの労働災害発生率のこと0500,0001,000,0001,500,0002,000,000(人)20082018保健衛生業商業建築業製造業132万人183万人95万人147万人51万人118万人71万人127万人2.6倍1.6倍1.3倍1.2倍出典:総務省「労働力調査」より図表1 60歳以上の雇用者数の変化(業種別、2008年と2018年比較)5.004.504.003.503.002.502.001.501.000.500.00男性女性2.050.824.004.064.76男性 2.0倍女性 4.9倍15〜19歳20〜24歳25〜29歳30〜34歳35〜39歳40〜44歳45〜49歳50〜54歳55〜59歳60〜64歳65〜69歳70〜74歳75〜79歳80〜84歳85歳以上出典:厚生労働省「労働者死傷病報告」(2018年)、総務省「労働力調査」(2018年)より図表2 年齢別・男女別 千人率※3高齢社員のための安全職場づくり―エイジフレンドリーな職場をつくる―

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