エルダー2021年1月号
50/68

株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之人事用語辞典■■■■■■■■いまさら聞けない 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者なら押さえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2021.148今回取り上げるのは、最近話題になることが増えている「諸手当」についてです。手当の前に〝諸〞がついているように、手当には多くの種類があります。会社勤めをしているほとんどの方の給与明細には、何かしらの手当項目があると思います。それにもかかわらず、従来それほど注目されてこなかった手当ですが、最近は「人手不足への対応」、「テレワークの拡大」、「同一労働・同一賃金への対応」という三つの観点からあらためて注目されているように感じます。手当とは何か手当には、「住宅手当」のように支給目的に関する用語をつけるのが一般的で、ある意味わかりやすい給与項目です。そのため、手当の項目を見ると〝どのような会社なのか〞がみえてくるといっても過言ではありません。手当とは簡単にいうと「基本給」以外に支払われる給与項目のことです。それでは、基本給とは何かという話になると、厚生労働省が毎年発表している就労条件総合調査では、「毎月の賃金の中で最も根本的な部分を占め、年齢、学歴、勤続年数、経験、能力、資格、地位、職務、業績など労働者本人の属性又は労働者の従事する職務にともなう要素によって算定され支給される賃金」と定義されています。基本給は労働に従事しているかぎり必ず支給されるものですが、手当は条件次第で支給されるものといえます。この条件については就業規則や給与規程などで、どのような場合にいくら支給されているかを明記しておくのが原則となります。手当は支給目的が重要それでは、なぜ給与は基本給だけでなく、手当を切り出しているのかについて見ていきたいと思います。図表をご覧ください。ここに記載されている項目がおおよその手当の種類となります。ここにも「勤務手当」、「生活手当」という記載がありますが、手当は支給目的が重要なため、筆者の解釈も含めてもう少し細かく分類してみたいと思います。①職務の重さや困難さに対する報奨(役付手当、特殊作業・勤務手当)、②技能・技術習得者の確保(技能手当、技術(資格)手当)、③着実な勤務・出勤の促進(精皆勤手当、出勤手当)、④実負担の代替(通勤手当)、⑤生活の支援(家族手当・扶養手当・育児支援手当・住宅手当・単身赴任手当・別居手当・食事手当)、⑥地域の物価や事情への配慮(地域手当・勤務地手当・寒冷地手当)の六つです。「諸手当」第8回

元のページ  ../index.html#50

このブックを見る