エルダー2021年1月号
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エルダー53生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム●新潟・愛知会場開催レポートの改善が必須です。そして、入職してくれた職員に、いかに長く勤めてもらえるかが重要になります。高齢者層を前向きにとらえる意味で当会では「アクティブシニア」と呼び、雇用しています。当会では、2018年4月に定年を65歳に引き上げました。1年前から動き始めて、対象者に面談をして意向を確認し、すでに定年後非常勤に変更している職員にも面談したうえで、希望者全員を定年前の給与に変更しました。65歳の定年後は、本人と家庭状況に合わせた条件で勤務できるように、毎年相談のうえ、雇用契約を結んでいきます。65歳定年にしたことで、資格や経験豊富な職員の流出が防げるだけでなく、「65歳まで働くことができる」という理由で、他法人からの転職を希望する方もいます。今回、内田先生のお話のなかで「シニアの力を戦力としてとらえる必要がある」と教えていただきました。今後5年間に最も職員数が多い60歳〜65歳の職員が順次定年を迎えますので、定年を延長すべきか、社内議論を始めていきたいと考えています。当会にとって、今後も新規事業は必須となっていきますので、魅力ある法人を目ざして、定期的に労働条件や就業規則などの改善に努め、年齢にかかわらず働きやすい職場をつくり、よりよいサービスを提供していきたいと思います。当社は、東日本を中心に事業を展開する中堅ゼネコンで、土木部門では高速道路、ダム、橋、復興関連事業などを、建築部門では病院、銀行、工場をはじめ、高田城なども手がけています。2020年4月に、60歳から65歳へと定年を延長しました。背景には、高齢化にともなう働き手の確保、旧再雇用制度によるモチベーション低下などがありましたが、何よりも、技術の伝承の必要性がありました。定年延長の作業は、実態の洗い出しから始めて、賃金構成・賃金テーブルの検討、総額人件費のシミュレーション、それらをふまえた社員全体の賃金カーブの検討、定年延長者の評価制度の検討、最後に関連規定と人事システムの整備をして、改定にこぎつけた次第です。改定のポイントとして、60歳以上は「シニア社員」として定義、評価制度は既存社員と同じ仕組みとし、成果重視にしました。賃金体系は既存社員とは異なる仕組みとしましたが、こちらも旧来の年功的処遇ではなく成果を重視した制度に改めました。賃金カーブは、基本的に50歳以降を念頭にカーブを抑制し、60歳以降の賃金水準を引き上げました。退職金の取扱いは、現行通り60歳時点で支給していますが、ここについては今後の検討課題と認識しています。改定作業は1年という短期間のうえ、非常にきつかったのですが、トップの実施方針のもと、熱意を持って取り組みました。定年延長の最終的なねらいは、社員一人ひとりの「自助努力」はもちろんのこと、若手とシニアがそれぞれ尊重し合い、「互助」の精神で働くことで、会社も社員もより「イキイキ」となること。そして、そのことが最終的に社風や社内文化として醸成され、活力ある会社になっていく、ということです。今後は70歳までの継続雇用も視野に入れ、よりきめ細やかな雇用管理と、収益基盤の一層の確立、この二つが課題であると認識しています。執行役員 総務人事部長 松井範のり幸ゆき株式会社 植木組事例 ❸新潟65歳への定年延長について改定作業の内容とポイント

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