エルダー2021年1月号
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57エルダー※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します最新の動向をもとに、将来の事業の成功に資する方策を紹介未来創造型人材開発進化する育成戦略と学びのデザイン労働経済清せい家け 篤あつし、風かぜ神かみ佐さ知ち子こ 著/東洋経済新報社/2200円+税吉田 寿ひさし 著/経団連出版/2000円+税リンダ・グラットン氏らの著書『LライフIFE SシフトHIFT』によって「人生100年時代」という言葉が一躍有名になった。日本でも少子高齢化の進展と高齢者雇用の推進にともない、人生100年時代における人材マネジメントが注目されるようになった。その重要なキーワードが「リカレント教育」ではないだろうか。本書は、このような人材マネジメントをめぐる最新の動向をふまえ、これからのグローバル競争やAI革命を勝ち抜くために欠かせない、真に価値ある人材を計画的・継続的に育成していくための方策が具体的な事例を交えて紹介されている。第1章「企業競争力の源泉としての人材と人材開発」から第15章「『学び直し』の時代へ」まで、各章とも豊富な図表を使いながらわかりやすい言葉でまとめられているので、人材マネジメントの現状と課題が容易に理解できる。各章末の「さらに学びを深めるための参考文献」は、知識の深掘りのために役立つだろう。本書は、著者が中央大学大学院ビジネススクールで担当してきた「人材開発」の講義用テキストがベースとなっている。受講者の声に応えるようにていねいにまとめられた本書を、人材開発に悩みを抱える担当者におすすめしたい。著者の清家氏は、労働経済学者として、長年にわたり高齢者雇用を研究対象としてきた。本誌にも、法令改正などの節目にたびたび登場しているので、ご存知の読者も多いだろう。本書は、清家氏が2002(平成14)年に上梓した書籍の改訂版で、雇用を取り巻く状況の変化を反映するために、慶應義塾大学で自らの後進を務める風神氏とともに抜本的な改訂を加えた。入門テキストとして活用されることを想定しており、労働経済学の基本的な考え方をしっかりと身につけられるように、数式的な説明はできるだけ省き、平易な説明が心がけられているところが大きな特長といえる。本書は2部から構成されており、第Ⅰ部(基礎編)では、労働経済学の基本的な考え方を解説。第Ⅱ部(応用編)では、第Ⅰ部で解説した労働経済学の基本的な考え方にもとづき現実に起きている問題を多様な視点から考察している。労働市場で起きている最もホットな話題とされる高齢者雇用や女性労働に関してもそれぞれ一章が割かれており、「コラム」や脚注も充実している。企業の人事労務担当者が労働市場の現状を把握し、将来に向けた人事施策を考える際に参考になると思われる。高齢者雇用や女性労働など、労働市場のトピックを読み解くためのテキスト

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