エルダー2021年1月号
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エルダー592021.1 January ニュース ファイル 「生涯現役社会の実現に向けた地域ワークショップ」を開催当機構から当機構では、10月の「高年齢者雇用支援月間」に、各道府県の支部が中心となって「地域ワークショップ」を開催した(一部は9月、11月に開催)。地域ワークショップは、生涯現役社会の実現に向けて、企業が高齢者雇用への理解を深めることを目的とし、高齢者雇用に関する基調講演、高齢者を戦力化し活き活き働いてもらうための情報提供、高齢者雇用に先進的な企業の事例発表などで構成される。今号では、10月1日(木)に当機構石川支部が主催した地域ワークショップ「高齢者を活かす雇用・働き方を考える」の模様をレポートする。同ワークショップでは、開会のあいさつ、最近の雇用情勢の説明(石川労働局職業安定部職業対策課)に引き続き、東京学芸大学教育学部の内田賢まさる教授による基調講演が行われた。講演のテーマは「高齢社員活用のための制度づくり」。内田教授は、2021年4月に施行される改正高年齢者雇用安定法によって「70歳までの就業機会確保」が企業の努力義務となることに言及。従来の「65歳までの雇用機会確保」との違いを説き、70歳までの高齢者の多様性や高齢者の「働かせ方」の多様化などにふれ、多様性に対応した処遇や勤務形態の仕組みづくり、安全衛生体制整備などを説明したうえで、「それらは、高齢者以外の社員にとっても恩恵があること」と述べて先進事例なども紹介。一方で、「高齢者の意識改革も不可欠」として、当機構が作成した高齢期の心掛けが学べる50歳代向け研修資料『12の漢字が魅せる―高齢期に輝くための心掛け―』の内容を紹介した。最後に内田教授は、法改正により「70歳までの就業機会確保」が努力義務になることで、高齢者の「働き方」、「働かせ方」が多様化することを再度強調し、対応した職場環境づくりには先進事例が参考になることなどを語り、講演を締めくくった。休憩をはさんで行われた「事例発表・パネルディスカッション」では、はじめに澁しぶ谷や工業株式会社人事部人事課長代理の三浦祐嗣氏、株式会社金沢環境サービス公社取締役保全部長の沖津勝しょう一いち氏・同社保全部施設維持課の寺本梨乃氏・同社保全部施設維持課の飛あすかい鳥井麻ま結ゆ氏、株式会社トーケン常務取締役管理本部長兼総務部長の岡本広ひろ志し氏・同社管理本部渉外広報課長の木きの下した理恵氏から、3社の高齢者雇用の取組みが発表された。澁谷工業は2017(平成29)年7月、60歳定年後、70歳まで就業可能な雇用システムを導入(64歳まで再雇用時に設定した給与を維持。65歳以降は再設定)し、高齢社員に求める役割を明確にしたところ、高齢社員のモチベーションが向上した。金沢環境サービス公社は、高速道路SAのトイレ清掃などに仕事熱心な高齢の清掃員が多数働いていることから、個々の都合に合わせた働き方や午前・午後30分ずつの有給休憩導入など、無理なく働き続けられる職場づくりに取り組み、高齢清掃員のさらなる定着を図っている。トーケンは、定年後も経験を活かして働きたいとの声が多く、活躍の場と働きやすい職場づくりに取り組み、個々に適した雇用形態と待遇、ICT活用、経験やノウハウを伝承する場の創設などを実施。高齢社員の活躍が技術力向上による業績向上につながっている。引き続き行われたパネルディスカッションには、澁谷工業の三浦氏、金沢環境サービス公社の沖津氏、トーケンの岡本氏が登壇した。コーディネーターを内田教授が務め、高齢者が働きやすい職場づくりに取り組むうえで苦労したことや取組みによる意外な効果などのエピソードが披露された。続いて、「高年齢労働者の労働災害防止対策への取組みについて」(石川労働局労働基準部健康安全課)、「金沢市の高年齢者雇用関係施策のご紹介」(金沢市経済局労働政策課)、「65歳超雇用推進助成金のご紹介」(当機構石川支部)の説明が行われた。今回は新型コロナウイルス感染予防のため参加人数を制限し、座席間の空間を確保するなどの対策を講じたうえでの開催となったが、熱心にメモを取る参加者の姿も目立ち、充実した時間のなかで幕を閉じた。座席間隔を空けるなど、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底したうえで開催した

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