エルダー2021年1月号
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新春特別企画 「令和2年度 高年齢者雇用開発フォーラム」トークセッションからエルダー61藤村 今年度の受賞企業には、働く意欲があり、健康であれば、70歳を超えて働ける事例が多くみられ、年齢でひとくくりにしない対応をしていることが大事な点だと思いました。特に最優秀賞を受賞した「株式会社大津屋」さんでは、AIを活用して高齢社員にかかる負荷を軽減しています。負荷がかかる部分は技術力で解決し、人にしかできない分野に高齢社員の経験、知恵を活かしていくことが、これからの高齢社会を希望のあるものにしていくのではないかと思います。 それでは、受賞された3社の主な取組み内容についてお聞きしていきたいと思います。最初に、「大津屋」の小川さんからお願いします。小川 当社は、2019(令和元)年6月に70歳定年制を導入しました。現在は、継続雇用で定年後も働いていますので、いずれ定年制の廃止も考えています。 高齢社員の能力・技術を活かすために、半年ごとに個人面談を行い、「体力的にきつくなってきた」という場合などは、継続雇用制度では短時間勤務コースを選択することができます。また、コンピテンシー評価を活用した人事制度を導入し、人事評価を年2回行っています。しっかりした評価をすることで「自分は会社から頼りにされている」と感じてもらえるのではないかと思っています。 先ほど藤村先生からお話しいただいたAIというのは、総菜自動会計システムのことです。以前は会計係が70種類の総菜の単価を覚える必要があったのですが、このシステムは、自動的に商品を識別して重量も計り、金額を出します。たいへん好評で「これがあるから勤めていられる」という声が高齢社員から聞かれます。 大事なことは、〝うまくいく仕組みづくり〞を考えることで、その際、ポイントになるのは、社員に寄り添う気持ちではないかと強く感じています。藤村 ありがとうございます。続きまして、「グロリア株式会社」の永井さん、お願いします。永井 当社は、2016年に定年制を廃止しました。人口減少と高齢化が進むなかで品質を保 昨年10月7日(水)に開催された高年齢者雇用開発フォーラムより、「令和2年度高年齢者雇用開発コンテスト」入賞企業3社が登壇して行われたトークセッションの模様をお届けします。コンテスト審査委員会の座長を務められた法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科の藤村博之教授をコーディネーターに迎え、高齢社員の能力・技術を活かし、長く働き続けられる職場づくりの工夫などについて、それぞれの取組みをうかがいました。高齢社員活用の最前線 〜コンテスト表彰事例から探る〜「令和2年度 高年齢者雇用開発フォーラム」トークセッションから藤村博之氏 法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科 教授コーディネーターパネリスト小川明彦氏 株式会社大津屋 代表取締役社長永井 實みのる氏 グロリア株式会社 代表取締役福原一彦氏 英興株式会社 業務部長新 春特別企画

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