エルダー2021年1月号
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2021.162「自分のやり方」の加工手順を標準化して、「加工標準書」を作成しました。また、加工手順を映像化し、動画から学べる仕組みもつくりました。最も効果があったのは、高齢社員が若手社員とペアを組み、技術を伝承する取組みです。若手が頼ってくるのが楽しいようで、高齢社員のモチベーションが向上しました。 こうした取組みを実践しながら、75歳まで働ける職場づくりを目ざしたいと考えています。意欲を持って働き続けていくためのさまざまな工夫と考え方藤村 ありがとうございます。次に、60歳以降も意欲を持って第一線で働き続けてもらうための工夫について、それぞれお聞きしたいのですが、「大津屋」の小川さんからお願いします。小川 若い人も高齢社員も一緒になって働く、チームワークでやる、という空気感をつくるようにしています。藤村 ありがとうございます。続きまして、「グロリア」の永井さん、お願いします。永井 60歳以上の社員が中心になって生産性向上について話し合い、例えば、床下配線がつまずきやすいといえば、すぐに改善して、働きやすい環境づくりに努めています。また、高齢社持するためには、経験のある社員に長く働いてもらうことが大事だと考えたからです。 そして、技能・技術の伝承に注力し、経験の浅い社員に高齢社員が指導する研修センターを設置し、活用しています。高齢社員が中心になり、作業マニュアルの作成も行いました。また、品質保持や身体的負担の軽減を図るため、作業工程の細分化を進めました。一方、LED照明などにより工場内の照度を上げたり、作業用の椅子を個々に適した種類に切り替えるなどの作業環境改善にも取り組みました。 これらの取組みにより、高齢社員が中心になって働ける環境となり、いま、高齢社員も張り切って仕事をしています。藤村 ありがとうございます。続きまして、「英興株式会社」の福原さん、お願いします。福原 当社は、2018年に定年年齢を60歳から65歳に引き上げ、希望者全員70歳までの継続雇用制度としました。現在、9割以上の社員が継続雇用を選択しており、社員の満足度が向上していると理解しています。 社員の健康を守るために、ワーク・ライフ・バランスの実現に取り組むとともに、年2回の健康診断、保健師による高齢社員の持病管理、定期面談などを実施しています。同時に、高齢社員の技術・技能を受け継ぐことにも注力し、3社のさらに詳しい取組み内容は、本誌2020年10月号「特集」をご覧ください グロリア 株式会社〈千葉県南房総市〉◎創業 1960(昭和35)年◎業種 諸官公庁および    民間特需のユニフォーム◎社員数 97人◎定年・継続雇用制度 定年なし。現在の最高年齢者は78歳。英興 株式会社〈京都府京都市〉◎創業 1947(昭和22)年◎業種 石英ガラス製品    加工販売等◎社員数 94人◎定年・継続雇用制度 定年は65歳。希望者全員70歳まで継続雇用、その後は健康状態と意欲により1年更新。現在の最高年齢者は76歳。株式会社 大津屋 〈福井県福井市〉◎創業 1963(昭和38)年◎業種 コンビニエンスストア◎社員数 300人◎定年・継続雇用制度 定年は70歳。就業規則により73歳まで継続雇用。その後、運用により上限なし。現在の最高年齢者は76歳。企業プロフィールエルダー2020年10月号検索

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