エルダー2021年2月号
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特集高年齢者雇用安定法が改正 ー70歳までの就業機会確保に向けてーエルダー11ける支払われる金銭や契約頻度等については、幅を持たせた記載でも差しつかえありません。ただし、高年齢者との個別の契約においては、当該計画に基づき、詳細な内容を記載する必要があります。また、これらの事項を作成するにあたっては、4の冒頭で言及した指針に留意事項を示しています。例えば、◦bの業務の内容については、高年齢者のニーズをふまえるとともに、高年齢者の知識・経験・能力等を考慮したうえで決定し、契約内容の一方的な決定や不当な契約条件の押しつけにならないようにする必要があること◦cの高年齢者に支払う金銭については、業務の内容や当該業務の遂行に必要な知識・経験・能力、業務量等を考慮することが必要であること。また、支払期日や支払方法についても記載し、不当な減額や支払を遅延してはいけないこと◦dの契約の頻度については個々の高年齢者の希望をふまえつつ、個々の業務の内容・難易度や業務量等を考慮し、できるだけ過大または過小にならないよう適切な業務量や頻度による契約を締結する必要があることなどに留意する必要があります。このほかの項目についての留意事項については、厚生労働省のホームページに指針やパンフレット等を掲載していますので、ご参照ください※8。(2)(1)の計画について過半数労働組合等の同意を得る(1)により作成された計画について、過半数労働組合等の同意を得る必要があります。このとき、過半数労働組合等に対して、次の3点を十分に説明する必要があります。a 創業支援等措置は労働関係法令が適用されない働き方であることb そのためにこの計画を定めることc 創業支援等措置を選択する理由なお、創業支援等措置と雇用の措置(3の①~③)の両方を講ずる場合は、雇用の措置により努力義務を達成したことになるため、創業支援等措置に関して過半数労働組合等の同意を必ずしも得る必要はありませんが、改正高年齢者雇用安定法の趣旨をふまえ、創業支援等措置の計画について同意を得ることが望ましいです。(3)(2)の同意が得られた計画を周知する(2)において過半数労働組合等の同意を得たうえで、次のいずれかの方法により、労働者に周知する必要があります。a 常時当該事業所の見やすい場所に掲示するか、または備えつけるb 書面を労働者に交付するc 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずるものに記録し、かつ、当該事業所に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する(例:電子媒体に記録し、それを常時モニター画面等で確認できるようにするなど)(1)~(3)を経て、制度を導入した後は当該計画に沿って、個々の高年齢者と業務委託契約等または社会貢献事業に従事する契約を締結する必要があります。また、個々の高年齢者と契約を締結する際は、◦契約は書面により締結すること◦上記の計画を記載した書面を交付すること◦(2)におけるaからcまでの事項をていねいに説明し、納得を得る努力をすることが求められます。おわりに6本改正の施行日は2021年4月1日となります。いま、人生100年時代を迎えるなか、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮し、活躍できる環境を整備することが求められています。就業確保措置の導入にあたっては、労使双方が十分に話し合い、双方が納得した措置が講じられることが望ましいと考えています。※8 厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1_00001.html

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