エルダー2021年2月号
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特集高年齢者雇用安定法が改正 ー70歳までの就業機会確保に向けてーエルダー17定法で新たに追加される四つの項目︵①他企業への再就職実現、②フリーランス選択者への業務委託、③起業した人への業務委託、④社会貢献活動への参加︶に見られるように、メンターやカウンセラーにとってあまり経験のない領域も含まれるようになっています。同じ企業で長く働いていれば、その間に企業そのものも大きく変化し、社員にも社外に転職できるような意識と変化対応力を身につけることが求められます。企業が行うキャリア支援には、そのような対応力を支援することが必要になると思っています。これからのキャリア支援これまでもそうでしたが、やはり社員のキャリア自律度を高め「働き手自らが今後のキャリアについて主体的に考え、行動する」文化・風土をつくっていかなければなりません。職場では活き活きと、モチベーション高く働き、知識や経験を発揮しつつ、後進の育成も行う。そして定年ないし別の機会に、自身にとってベストのタイミングで社内の他部署や社外に進み、本当にやりたいことを、周りからも感謝されながら働ける。そんなキャリアをサポートできるような環境が求められています。では、社員がなぜ、なかなかキャリア自律度を上げられないのか、二つの要因について考えてみたいと思います。■自分に自信がない例えば一度も転職経験のない50代の場合、すでに入社して30年が経っています。この間、社会も技術も大きく変化しました。大学で学んだ専門性を活かし、若手として活躍したころの業務を現在もなお担当している50代は少ないのではないでしょうか。また入社以来、いくつもの部署を渡り歩き、ふり返ってみると「自分の強みって何だろう?」と悩んでいるミドル・シニ※3 セルフ・キャリアドック……企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に社員の支援を実施し、社員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組み、また、そのための企業内の「仕組み」※筆者作成図表1 ミドル・シニア社員に対するキャリア支援の現状010203040(件)0102030405060(件)40歳未満40〜45歳45〜50歳50〜55歳55〜60歳60歳以上再就職・セカンドキャリア支援退職後のセカンドライフ支援幹部向け教育・研修その他ミドル・シニア社員の現状についてキャリア自律ポジティブ(14%)専門性も、モチベーションも高く業務に取り組んでいるネガティブ(86%)●専門性はあるがモチベーションが低く、 停滞している●モチベーションはあるが専門性が低く、 停滞している●技術的にも、マインド的にも停滞しており、 組織に良い影響を与えない●個人差が多く、何ともいえない研修受講者対象年齢キャリア研修の実施研修実施内容大手149社人事責任者のアンケート(2018年)結果(情報提供:日本CHO協会)している(63%)していない(37%)5616372757412112

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