エルダー2021年2月号
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エルダー29FOOD日本史にみる長寿食食文化史研究家● 永山久夫春を先取りするナバナ春を呼ぶ味わい北風が吹き荒れる冬から、花咲く春へ。季節の変わり目になると、とかく体調を崩しがちです。風邪をひくなど、思わぬ流はやりやまい行病にかかったりもします。それらの病気を予防するために、また、季節を先取りする意味でも日本人は、春に先駆けて芽を出したり、花をつけたりする若菜や野菜を食べて、体調を整えてきました。春夏秋冬と移り変わる四季のなかで暮らしてきた、日本人の生活の知恵といってもよいでしょう。その一つが、寒気がゆるみ始めると、スーパーの野菜売り場に並ぶナバナ。「菜の花」のことで、その若い蕾つぼみを中心に摘んだものです。ナバナは、いかにも季節感を大切にする日本人らしい呼び方ですが、ほろ苦さのなかにかすかな甘みもあって、春先の若野菜らしい独特のおいしさが楽しめます。ビタミンCがたっぷりナバナで驚くのは、ビタミンCの多さです。冬採れホウレンソウの2倍以上も含まれています。ビタミンCというと、お肌のしみ防止や、風邪からガンまで予防するビタミンとして知られていますが、ウイルスなどに対する免疫力を強化する働きでも注目を集めています。ストレスに弱い方は、ビタミンCが不足しているかもしれません。ストレスを跳ね返すホルモンの生成には、ビタミンCが欠かせないからです。もう一つは、ビタミンCが不足すると老化が早まるといわれており、こちらも注目すべきでしょう。春から増える紫外線や、活性酸素の害から健康をガードするカロテンもたっぷりです。さらに若返り作用のビタミンEや骨を丈夫にするビタミンK、脳の老化を防ぐ葉酸も豊富に含まれています。カルシウムも多く、100g中に160mgも含まれており、ビタミンKとともに骨を丈夫にするうえで役立っています。おひたしやごま和え、からし和え、それに一夜漬けなどにして、春の到来を味わいましょう。328※ 「Books」(57頁)に、永山久夫氏と三浦理代氏が監修した『からだによく効く食材&食べあわせ手帖 改訂版』を紹介しています

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