エルダー2021年2月号
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2021.234産業医の協力を得て健康をサポート「お客さまに安心して乗車してもらうためには、従業員の健康が大切」との考えから、以前から産業医に協力をお願いし、定期健康診断の結果はもちろん、随時、手厚い健康指導やアドバイスがもらえる環境をつくり、サポートを実施しています。佐藤所長も必要に応じて個別面談をするなどして従業員を気遣い、また、血圧測定器を社内に設置し、日々の会話なども通じて健康意識の向上に励んできました。その結果、自ら健康に気をつけている従業員が増えたといいます。また、65歳以上の乗務員に対して実施している運転適性をみる適齢診断について、以前は受けることを面倒がる人もいましたが、いまでは「自覚できるのでありがたい」と謙虚に受け止めて、より効果的になっているといいます。佐藤所長はこれらのほかに、コミュニケーションを大事にしているといいます。懇談会を毎月開催し、テーマを決めて、例えば接客などについて経験や考えなどを話し合っています。これは全従業員が出席できるよう、毎月2回に分けて実施しています。また、「他愛もない話をするなかで、『最近はどうですか?』と、さりげなく仕事やご家族のことを聞いたりします」と佐藤所長。休憩中の従業員に対応)を選ぶこともできます。「乗務員の健康を第一に考えています。年齢が上がると、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクがどうしても高まるので、疲れをためない働き方ができるよう、また、自分に適した勤務時間が選べるようにしました」(佐藤所長)。現在では、一般的な会社員と同様に朝から夕方まで平日のみ勤務する乗務員や、短時間で9時から15時まで勤務する乗務員がいる一方で、70歳を超えても、従来の「4勤2休」を元気にこなしている人もいるそうです。また、各営業所の混雑時間に応じてシフトを柔軟に組み替えたり、担当する営業場所の配置換えをしたりして、希望に沿った働き方の実現に努めています。この取組みにより、「夜勤がきつくなったから」という理由で退職する乗務員はいなくなり、「勤務時間の相談がしやすくなった」、「辞めることを考えなくてよくなった」という声が聞かれるようになり、乗務員の定着率とモチベーションが高まるという効果がみられています。一方、乗務員の多い時間帯と少ない時間帯が生じてしまうことが課題ですが、予約のお客さまを増やすことに努めるなど工夫を凝らし、従業員の希望に応じた働き方ができる職場環境づくりに今後も注力していく方針です。年年齢に合わせて65歳へ引き上げました。これらの取組みが評価されて、2017年度「高年齢者雇用開発コンテスト(54頁参照)」で当機構理事長表彰特別賞を受賞しました。それからまだ3年ほどですが、同社の取組みはさらに進んでいます。定年65歳、希望者全員を70歳まで再雇用する制度に変わりはありませんが、新たに71歳以降について、健康状態などを本人と会社の間で確認したうえ、運用により、1年契約で80歳まで再雇用することとしました。同社の佐藤秀ひで記き所長は、「高齢者といってもいまは元気な人が多いですし、働ける人が増えています。ベテランの乗務員は、道路や道路事情を熟知し、カーナビゲーションより優れている人もいます。そこで、80歳まで勤務できる環境を整えました」と取組みを話します。現在、従業員の最高年齢者は78歳、最年少者は24歳。いずれも乗務員として活躍中です。選択できる勤務形態を整備80歳まで働ける職場環境を整えるため、勤務形態の整備もさらに進めました。従来は夜勤を含む「4勤2休」と呼ばれる形態だけでしたが、現在は「日勤のみ」または、「2勤2休」(2日昼間勤務して2日休日)、あるいは「短時間勤務」(希望

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