エルダー2021年2月号
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エルダー35に話しかけているうちに、ほかの従業員同士の会話も増え社内の雰囲気が変わったそうです。今回は、高齢ドライバーのお一人と同僚の方からお話を聞きました。憧れていた職業に62歳で挑戦清水公ひろ明あきさん(71歳)は、高崎第一交通に入社して8年。化学薬品などを扱う商社に定年まで勤めた後、62歳まで継続雇用で勤務。その後はゆっくり過ごしていたものの、以前から憧れていたタクシードライバーになろうと決心してハローワークで相談し、「念願が叶いました」と入社の経緯を語ります。運転することが好きな清水さんですが、タクシーの乗務員は未経験のため、研修と二種免許※の取得のため、入社後すぐに福島県郡こおり山やま市の自動車学校へ1週間泊まり込みで入学し、最後に試験を受けて免許を取得。その後、先輩ドライバーから指導を受けて、仕事を覚えていきました。入社して2年ほどは夜勤も行いましたが、いまは緩やかな働き方に変えて、平日昼間のみの勤務にしています。「事故を起こさないこととお客さまに不快感を与えないことを心がけています。どのくらい続けられるかまだ考えていませんが、お客さまに満足していただけるようこれからもがんばります」と清水さん。同僚の松村勇いさむさん(55歳)に、清水さんの働きぶりについてうかがいました。「清水さんは60代と思っていましたが、年齢を聞いて驚きました。身のこなしが若いんですよ。私は4年前に入社し、清水さんから接客など教えていただきました」また、60代、70代の先輩たちの働きぶりについて、「夜勤をしている方や、カーナビがいらないくらい道に詳しい方がいてすごいと思います。みなさんには、新人のころ親切に教えてもらいました。身体が丈夫であれば長く働ける環境があるのは、よいことだと思います。お客さまから『ありがとう』といっていただけることが、この仕事の魅力。私もがんばります」と話してくださいました。いつまでも勤務したいと思う会社「清水さんは採用面接の際、『タクシーの仕事がしたい』と活き活きとした表情で話していたのが印象的です。未経験で入社して、よくがんばっています。今後タクシー業界では、70歳を超えても働く人が増えていくと思います。70歳以上でもできる仕事ですし、当社は、自分に合った働き方で続けることができます。そういうことをもっと周知していきたいと思います」(佐藤所長)また、横沢プランナーは同社の高齢者雇用について、「他社の模範になる取組み」と評価します。「超高齢社会におけるモデル的な取組みだと思います。いわゆる高齢者的な働き方の雇用ではなく、がんばればそれだけ報われる給与体系で、希望する働き方が選べる仕組みがあることは、いつまでもこの会社に勤務したいというモチベ―ションにつながると思います。よい取組みをされています」新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい経営環境が続いていますが、佐藤所長は従業員のみなさんの健康を一番に気にかけており、「健康への配慮と社内コミュニケーションをこれからも大事にしていきます」と語りました。 (取材・増山美智子)精せい悍かんな制服姿で仕事に出かける清水公明さん※  二種免許……乗客を運ぶ目的で、旅客自動車を運転するときに必要な免許

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