エルダー2021年2月号
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2021.236エイジフレンドリーガイドラインのポイント1本稿では、2020(令和2)年3月、厚生労働省が発表した「エイジフレンドリーガイドライン(高年齢労働者の健康と安全確保のためのガイドライン)」の概要を紹介します。同ガイドラインは、エイジフレンドリー(高齢者の特性に応じた)な職場をつくるため、事業者に求められる健康と安全の確保策を示すとともに、働く高齢者(労働者)にも事業者に協力することを求め、最後に、エイジフレンドリーな職場づくりのための支援制度を示しています。本ガイドラインのポイントは、高齢者一人ひとりの健康や体力の状況を把握し、それに応じた対策を求めていることです。これは、いままでにない新たな視点です。この背景には、高齢になるほど、心身機能の個人差が大きくなることがあげられます。図表1は、暦年齢(実年齢)に応じた生理的年齢(個々人が持つ心身機能の程度を年齢化したもの)の幅、すなわち個人差をみたものです。例えば、実年齢65歳の人の生理的年齢の個人差は16年にも及びます。これは、実年齢65歳の人のなかには、50代の若々しい人がいる一方、心身機能の衰えが顕著で、70代のように見える人がいることを表しています。このため、職場で働く一人ひとりの健康や体生理的年齢暦年齢10203040506070809010025354555657585(歳)(歳)4年8年12年14年16年18年20年出典: 斎藤一、遠藤幸男:高齢者の労働能力(労働科学叢書53)、労働科学研究所、1980から作成図表1 加齢による暦年齢と生理的年齢の個人差の拡大 生涯現役時代を迎え、60歳、65歳を超えて、より長く活躍してもらうためには、企業が職場における安心・安全を確保し、高齢社員が働きやすい職場環境を整えることが欠かせません。本連載では、高齢者の特性を考慮した〝エイジフレンドリー〞な職場の実現方法について、職場の安全管理に詳しい高木元也先生が解説します。労働安全衛生総合研究所 安全研究領域長 高木 元也―エイジフレンドリーな職場をつくる―高齢社員のための安全職場づくりエイジフレンドリーガイドライン―高齢者一人ひとりの健康や体力の状況の把握とそれに応じた対策―第2回

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