エルダー2021年2月号
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被害者に対して賠償する責任を負担することを定めています。この場合、使用者は労働者とともに、被害者に対する賠償責任を負担する義務を負います。また、同条第3項では、「前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない」と明記しており、会社としては労働者に対して、求償権を行使することが可能とされています。これは、実際に発生した損害を事後的に請求するという状況であり、あらかじめ違約金などを定める状況とは異なります。したがって、会社が、労働者に対して、実際に発生した損害について、被害者へ支払う義務があるときには、請求することが可能と考えられています。労働者に対する損害賠償責任について1労働基準法第16条は、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定め、損害賠償の予定を禁止しています。このような規制がなされている背景には、契約期間中の解約に対する違約金を設定することや、事業活動におけるミスなどの賠償を予定しておくことで、労働者が退職する自由を奪い、不当な足止めを行うことにつながることを回避することにあります。一方で、実際に発生した損害についてはどうでしょうか。このような場合には、民法第715条第1項が、会社が労働者の不法行為によって他人に損害を生じさせた場合には、損害賠償の予定は禁止されていますが、実損を請求することは可能です。ただし、損害の公平な分担の観点からかなりの割合が制限されることが多くあります。A労働者に対する損害賠償請求について知りたい労働者が、会社に対して、損害を生じさせた場合に、その損害を賠償するよう請求することはできるのでしょうか。会社の内規を大きく逸脱して損害を与えた場合などはどのように考えられるのでしょうか。Q1第33回 労働者に対する損害賠償請求、ノー残業デー導入時の留意点弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。2021.240知っておきたい労働法 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制はA& 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は&Q

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