エルダー2021年2月号
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エルダー3です。男性は管理職だった期間が長く、現場の仕事から離れている人も多いですが、女性は管理職比率が低かったこともあり、現場で仕事をしてきた人も多い。再雇用になっても現場のサポートに回り、何が足りないのかよくわかっているので、若い人から頼られている人が多かったですね。―男性も含めて、豊富な経験を持ち、まだまだ元気なシニア層を企業が活用していくためには何が大切だと思いますか。岸本 最初の本のために取材したときは希望者全員の再雇用制度が始まったばかりで、企業側も正直どう扱ったらよいのかわからず、再雇用先の部署も適当にふり分けるなど、しぶしぶ雇うという感じでした。それから数年経つころには再雇用の人数も増え、徐々に積極的に活用していこうという考え方に変わりつつあります。ではどうすればよいのかを考えるときに大切なのは、働くモチベーションです。特に男性は以前の仕事に非常にこだわり、プライドも高く、会社への愛も強い。そういう人たちに、あってもなくてもよいような仕事を与え、適当な部署に配置するだけではモチベーションが下がります。そうではなく、働く意欲がある人はきちんと評価し、多少差をつけた処遇をする。個人の能力や経験を考慮し、この人にはこういう仕事をやってほしいと、相応の仕事と処遇を提示するなど、働くモチベーションを持てるようにしてほしいと思います。―一つのアイデアとして、社内公募などの旗が立つ(求人がある)ことが大事だと著書のなかで指摘されていますね。岸本 例えば、「うちの部署で○○の仕事をする再雇用の人がほしい」という旗を立てさせる社内公募的方法もよいと思います。それを見て、もし自分が定年後にその仕事をしたかったら手をあげて応募する仕組みです。そのうえで面接し、採用を決定する。札幌の支店で経理の経験がある人を募集すると、これ定年後に自分が好きだった作家の文学館に受付のアルバイトとして入ったのですが、作家に関する知識がとても豊富なので、いろいろな企画を提案し、実際に新聞を発行するなどして貢献しています。あるいは販売職として若い人と一緒に仕事をしている女性は、若い人が苦手とするお客さまへの接し方が得意で、みんなに感謝されている。それが地位や役職に結びついているわけではありませんが、周囲に感謝され、喜ばれることがうれしいの働く意欲がある人をきちんと評価しモチベーションを持てるようにしてほしい

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