エルダー2021年2月号
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特別企画2021.248及川 本日は、内田先生が編さんされた『競争力を高めるための高齢者雇用』(以下、『黒本』。詳細は53頁参照)の発刊を記念し、タイトルにもなっている、企業の〝競争力を高めるための高齢者雇用〞について教えていただきます。内田 よろしくお願いします。及川 黒本では、当機構が毎年実施している高年齢者活躍企業コンテスト(以下、「コンテスト」。詳細は54・55頁参照)にて表彰された企業の取組みを紹介していただきました。〝競争力を高める〞という言葉にはどういった思いがあるのですか。内田 コンテストの表彰企業は、高齢社員がこれまでつちかってきた職業能力と経験を引き出して自社の競争力や企業価値を高めています。ですから、黒本の標題を〝競争力を高めるための高齢者雇用〞とし、他社が参考となる取組みを厳選して紹介しています。及川 本日の鼎てい談だんでは、この黒本をもとに 〝競争力を高める高齢者雇用〞について、最近のトレンドや今後の動きを先生におうかがいします。最近の高齢者雇用の傾向について―いま、在籍する社員に長く活躍してもらう―及川 最初に、コンテスト担当の上地から、コンテスト表彰企業の取組みを分野別に整理したデータを紹介します。上地 図表1は、直近5年間(2015〔平成27〕〜2019〔令和元〕年)の表彰企業(厚生労働大臣表彰・機構理事長表彰)を対象に、分野別の取組み状況(11項目)を集計したものです。 全体的には、定年延長や継続雇用延長を進める「定年・継続雇用」と、勤務時間を工夫する「勤務時間・日数」分野の取組みが突出しています。一方、60歳以上の高齢者を積極的に雇用する「新規採用」、キャリア研修の実施などの「意識啓発」分野の取組み割合は低いです。さらに、直近の傾向として、2019年度には継続的に改善活動を進める体制を整える「職場の風土づくり」が高くなっています。私見ではありますが、表彰企業は何か一つの取組みに特化するの (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構では、高齢者が活き活き働ける創意工夫を行った企業を表彰する「高年齢者活躍企業コンテスト」を毎年実施しています。今回は、過去のコンテスト表彰企業の事例を掲載した『競争力を高めるための高齢者雇用』の発刊を記念し、編さん者である内田賢教授(東京学芸大学)に「企業の競争力を高めるための高齢者雇用」についてうかがいました。東京学芸大学 教育学部 教授内田 賢まさる独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構雇用推進・研究部研究開発課及川つかさ・上うえ地ち 琳りん子こまさる先進企業における高齢者雇用のトレンドと今後鼎談

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