エルダー2021年2月号
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エルダー592021.2 February ニュース ファイル 2020年度「現代の名工」厚生労働省厚生労働省は、その道の第一人者と目され、卓越した技能を有する現役の技能者150人を「現代の名工」として決定し、2020(令和2)年11月9日、東京都内で表彰式を行った(今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、各部門の代表として20人の技能者を招待して実施)。「現代の名工」の表彰制度は、極めてすぐれた技能を有し、技能を通じて労働者の福祉の増進と産業の発展に寄与し、ほかの技能者の模範と認められる現役の技能者に対して、厚生労働大臣が表彰を行うもの。1967(昭和42)年度に第1回の表彰が行われて以来、今年度が54回目となり、今回受賞の150人を含めて、これまで6646人が表彰を受けている。今年度の主な受賞者は、婦人・子供服注文仕立職として顧客の個性や着用目的、季節などに合わせて、デザインから裁断、縫製まで一貫して制作する卓越した技能を持つ金かね武たけ節せつ子こさん(76歳)、染せん織しょく職しょくとして、染料となる草木採取から意い匠しょう、染色、織り上げまで全工程を1人で作業する卓越した技能を有し、数百種類の植物による豊富な草木染経験・技能に加え、多様な織りの技能に精通して、その作品が国内外から高い評価を得ている髙橋千ち鶴ず子こさん(96歳)、宮大工として1953年から67年間、社寺建築を手がけるなかで規き矩く術や木割りの技能を習得し、設計から完成まですべて自分の手で仕上げ、現在は長年の棟とう梁りょうとしての技術を伝えるべく、後進指導にも力を注いでいる佐野義光さん(87歳)らである。「はばたく中小企業・小規模事業者300社」選定、300社の事例集も公表経済産業省経済産業省は、ITサービス導入や経営資源の有効活用などによる生産性向上、積極的な海外展開やインバウンド需要の取込み、多様な人材活用や円滑な事業承継など、さまざまな分野で活躍している中小企業・小規模事業者を「はばたく中小企業・小規模事業者300社」として選定した。また、選定された300社の取組みを収録した「はばたく中小企業・小規模事業者300社2020」(個別事例集)を中小企業庁のホームページで公表している。選定された中小企業・小規模事業者は、①生産性向上、②需要獲得、③担い手確保の三つの分野で、外部有識者による厳正な審査で選ばれた。①生産性向上の分野は、高齢化や人手不足などの課題をITサービス導入や経営資源の有効活用などによって解決したり、生産性向上に資する取組みを行っている企業など。②需要獲得の分野は、海外展開を通じて、国内の産業基盤の発展に積極的に取り組んでいる企業や、地域資源を活かし、インバウンド需要の取込みなど、地域経済の活性化に貢献する企業など。③担い手確保の分野は、若者・女性・シニアなどの多様な人材を、工夫をこらした働き方などで活用する事業者などで、この分野では、65歳以上のシニア人材を雇用して次世代へ職人技術を継承している企業や、地域と連携した雇用の取組みで多様な人材を確保している企業、多様な人材を活用して働き方改革に積極的な企業、生涯雇用を掲げている企業など39社が選ばれている。調査・研究 「働く人の電話相談室」結果報告日本産業カウンセラー協会一般社団法人日本産業カウンセラー協会は、2020(令和2)年9月10日から12日までの3日間にわたって実施した「第14回働く人の電話相談室」の集計結果をまとめた。それによると、期間中に延べ330人から、計527件の相談が寄せられた(※相談者からの主訴を最大三つまで選択する方式として集計)。今年は相談者に新型コロナウイルスやテレワークが仕事や心にどう影響したのか聞いたところ、新型コロナウイルスの影響面で顕著だったのは「職場の悩み」(36・6%)、「キャリアに関する悩み」(24・4%)の2点で過半数を占めた。相談全体の悩みの分類をみると、昨年に続いて「職場の悩み」が32・3%(前年37・9%)と最も多く、次いで、「メンタル不調・病気の悩み」が17・3%(同16・6%)、「キャリアに関する悩み」が14・2%(同11・7%)、「家族に関する悩み」が13・7%(同10・2%)と続いた。「職場の悩み」の内訳をみると、「職場の人間関係」が32・9%と、昨年に引き続き最も高い結果となっている。また、「キャリアに関する悩み」の内訳では「就職・転職・退職」が52・0%と、昨年同様最も高い結果となっている。相談者を年代別にみると、50代が34・4%(前年33・1%)と最も多く、40代が22・7%(同21・7%)、60代が19・4%(同13・5%)、30代が10・7%(同13・6%)の順となっている。

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