エルダー2021年2月号
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エルダー7特集高年齢者雇用安定法が改正 ー70歳までの就業機会確保に向けてー改正の背景170歳までの就業機会を確保するための措置を講ずることを事業主の努力義務とする改正高年齢者雇用安定法が2020(令和2)年3月に成立・公布され、2021年4月1日から施行されます。ここでは、その概要などをご紹介します。わが国は、少子高齢化が急速に進行しており(図表1)、2015(平成27)年から2040年までの25年間においては、15~59歳の者が約1693万人減少するのに対し、60歳以上の高年齢者が約477万人増加し、2・4人に1人が60歳以上の高年齢者になると見込まれています※1。一方で、高年齢者の身体機能については、2018年は男女とも65歳以上のいずれの年齢階級においても、20年前の5歳下の年齢階級の水準を超える水準となっているほか、歩行速度の向上も見られ、高年齢者の若返りが確認されています※2。こうしたこともあり、2016年においては、男性の健康寿命が72・14歳、女性が74・79歳に上り、いずれも健康寿命の延伸が見られます※3。また、収入をともなう就業希望年齢として、全体では約2割が「働けるうちはいつまでも」と回答しており、約4割が65歳を超えて就業することを希望しています※4(図表2)。少子高齢化が急速に進行し、人口が減少するなかで、経済社会の活力を維持するためにも、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図っていくことが重要であり、高年齢者の活躍の場を整備するため、高年齢者雇用安定法(「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(昭和46年法律第68号))が改正されました。現行の高年齢者雇用安定法について2高年齢者雇用安定法においては、定年を定める場合は60歳を下回ることができないとされており、そのうえで、65歳までの雇用確保措置を講じなければならないとされています。このため、65歳未満の定年の定めをしている事業主には、①65歳までの定年年齢の引上げ②65歳までの継続雇用制度の導入③定年制の廃止のうち、いずれかの措置を講じていただくこととなります。なお、2019年6月1日現在の高年齢者雇※1 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計:出生中位・死亡中位推計)」※2 文部科学省「平成30年度体力・運動能力調査」※3 厚生労働省政策統括官付参事官付人口動態・保健社会統計室「簡易生命表」、「人口動態統計」、厚生労働省政策統括官付参事官付世帯統計室「国民生活基礎調査」、総務省統計局「人口推計」より算出※4 内閣府「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査」厚生労働省職業安定局高年齢者雇用対策課2021年4月施行改正高年齢者雇用安定法の概要概要

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