エルダー2021年3月号
17/68

特集高齢社員戦力化に向けた活用戦略と賃金・評価制度を考えるエルダー15では、先ほど説明したように内務職員を対象に65歳定年制度を導入し、新入社員から65歳まで同じ人事処遇体系を実現するとともに、最長70歳まで働ける継続雇用制度を導入しました。また、役職定年と特別職員制度を廃止し、年齢による一律の処遇引下げをなくすことで、競争意識を持ち意欲的に活躍できる仕組みを構築しました。同時に、初任給の引上げ、福利厚生制度の充実、健康経営を推進し、若手からシニアまで、年齢にかかわらず高い意欲で能力や成果を発揮できる環境を構築する、全世代型プロジェクトとして改定を進めました。当社では退職一時金についてはポイント制を採用していますが、定年年齢を65歳に引き上げたことにともない、ポイントの付与は60歳までとし、支給時期を65歳としました。61歳から65歳までの賃金が大幅に上昇するため、60歳時点の金額としています。退職年金については、支給開始年齢は65歳とし、支給方法は10年保証期間付確定給付型終身年金を維持し、支給金額は旧制度と同額としています。2度目の人事諸制度の改定は、2020年4月に実施しました。メリハリのある人事運用を行うため、評価項目・評価基準の明確化を行いました。また、評価乗率を見直し、職位に応じて人事評価の処遇反映を最大2倍程度引き上げ、より成果が反映しやすい処遇を実現し、従業員のモチベーション向上を図りました。このほか、昇降格要件の明確化・早期化・厳格化、給与テーブルの見直しを行い、固定部分を縮小し、変動部分を拡大することで、成果発揮や管理職登用、上位管理職ほどインセンティブがより働く処遇体系とするなど、1度目の改定から3年経過したところで、成果に対して、より一層評価を反映できるような体系に改めました。仕事と生活の両立支援の充実と従業員の健康増進にも取り組む65歳定年制度を導入し、長く働ける就労環境が整備されたことにともない、仕事と生活の両立支援制度の充実と従業員の健康増進に関する取組みも推進しています。両立支援制度の充実としては、最長3年間取得できる介護休業や年30日間有給で取得できる介護休暇、子が小学校卒業まで利用できる短時間勤務制度、男性従業員の育児休業の取得促進、不妊治療およびがん治療による通院休暇を導入したほか、介護やがん治療を要件として週3〜4日勤務ができる制度も導入しました。従業員の健康増進については、①健康増進セミナーの実施やクアオルト※を活用したウォーキングなどの予防・意識向上に関する取組み、②MCIスクリーニング検査の実施などの認知症の早期発見に関する取組み、③再検査や精密検査の100%受診の徹底などの重症化予防に関する取組みで、人事部が中心になって進めています。人事制度の改定にとどまらず、福利厚生制度の充実、健康経営の推進とも合わせて、全世代型の取組み「太陽の元気プロジェクト」を通じて、従業員が長く元気に高い意欲で働ける環境を構築しています。※  クアオルト……「クア(治療・療養)」と「オルト(場所・地域)」を合わせた「療養地」という意味のドイツ語65歳定年制度を導入 ● 内務職員(約2300人)の定年を60歳か65歳へ延長。処遇は60歳到達時を維持最長70歳までの継続雇用制度を導入 ● 定年退職後、最長70歳まで嘱託社員として働ける継続雇用制度を導入役職定年・特別職員制度を廃止仕事と生活の両立支援制度を充実従業員の健康増進に取り組む ※ 営業職員は、2005年1月に定年年齢を70歳とし、最長80歳まで働ける制度を導入済み高齢社員の戦力化に向けて

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る