エルダー2021年3月号
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2021.318制度の変更も行いました。まず、年金支給開始年齢を60歳から65歳に引き上げました。また、企業年金の給付利率を3%から2%に変更し、持続可能な仕組みにしました。月額約1万円程度の支給額減少となるのですが、65歳まで厚生年金保険料を納めた場合、厚生年金の支給額が月額1万円程度増加し、生活を維持できるような仕組みに変えることができたと考えています。シニア期をサポートする施策も構築し、二つの側面から支援するセミナーを実施しています。一つは、一人ひとりが考える「キャリアドック」という支援で、53歳と58歳で全員参加のセミナーを受講してもらい、成長の再認識などを行います。もう一つは、50〜52歳、58歳、63歳の3段階で行う「ライフプランセミナー」です。今後の処遇、退職金のシミュレーションなどを行い、シニア期に向かって準備を始めるきっかけにしてもらいます。一方で、シニア期の多様な働き方に応じて、社内外での活躍の支援策といったものも、同じタイミングで少しずつですが導入を始めました。70歳までの再雇用制度を導入社外転身支援を含むキャリア支援もシニア層の意識調査では、65歳〜69歳の就労意欲は65%と高く、65歳以降も引き続き働きたいという意欲がうかがえます。また、「働くことで社会とつながっていたい」という声が多く聞かれました。その際の勤務形態としては、週2〜3日勤務で、月10万円程度の給与を望む声が多く、この裏返しで、フルタイム勤務しか選択肢がない場合、希望者は少ないのではないかといった声もありました。最後に、シニア層のさらなる活躍に向けて、ここ1〜2年の取組みについてお話しいたします。65歳以上の再雇用制度を、2020(令和2)年9月から開始しました。雇用形態は嘱託社員で、単年度契約、原則として70歳までという制度で、労働時間は週3日、1日6時間勤務をモデルとしています。本人の希望に加えて、部署が推薦することが再雇用の条件になります。また、45歳以上の社員を対象にしたキャリア支援の拡充にも取り組んでいます。社員一人ひとりが人生後半戦のキャリアを自律的に考え、社外への転身も含めて、キャリアの選択肢を広げるための支援です。具体的には、ITスキルをはじめ、知識・スキルの継続学習を支援する「リカレント教育」、外部転職会社による相談やセミナー開催による「社外転身支援」、転身後3年以内であれば、サントリーに復職できるという「カムバック制度」の三つの支援制度を導入しました。これらにより、サントリーらしく、シニア層が社内外で活躍できる環境を整えていきたいと考えています。当社の事例は以上になりますが、まだ模索しながら進めているところです。法令も変わってくるでしょうし、世の中の状況も変化していくなかで、現状がゴールではなく、まさに走りながら制度を変えていく、あるいは、運用を変えていくということを、今後も続けていきたいと思います。65歳定年制を導入 ● 2013年4月、定年を60歳から65歳へ延長70歳までの継続雇用制度を導入 ● 2020年9月、定年退職後、最長70歳まで嘱託社員として働ける再雇用制度を導入シニア期をサポートする施策を構築 ● キャリアドック(53歳・58歳) ● ライフプランセミナー(50歳以降、3段階で実施)キャリア支援策を拡充(対象45歳以上) ● リカレント教育 ● 社外転身支援 ● カムバック制度シニア層のさらなる活躍に向けて

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