エルダー2021年3月号
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2021.324日本の人口が2011(平成23)年から減少傾向に転じるなかで、少子高齢化と人手不足はさらに進展し、安定的な労働力の確保は工業炉製造業における重要課題の一つになっている。この課題を解決するには、これからの工業炉製造業の中核をになう若手社員の確保を進める一方で、現在、工業炉製造業に従事している従業員が安心して活躍できる場の整備・拡充を図ること、そして長年の職業人生を通して、蓄積してきた技術や経験、知識を持つ高齢者のさらなる活用が不可欠である。業界ではすでに高齢者のさらなる活用を図るべく、定年を迎えた高齢者を引き続き継続雇用したり、定年年齢を引き上げたりするなどの取組みを進めている企業がある。こうした取組みは一定の成果を上げていることからも、業界全体として高齢者の活躍の場を考えていくことが求められている。本ガイドラインは、高齢者雇用の実態を把握するために行ったアンケート調査やインタビュー調査の結果をふまえて、工業炉製造業における高齢者活用のあり方を取りまとめたものである。「Ⅰ 工業炉製造業における高齢者の活躍に向けた考え方」では、単品オーダーメイド生産や利用年数の長さが特徴的な工業炉の製造において、特に設計をになう技術者を中心人材として重要視する傾向が強いこと、そして高齢者の活躍が求められる背景などを整理し、高齢者の活躍推進に向けた考え方をまとめている。「Ⅱ 工業炉製造業における高齢者の活躍推進のための指針」では、工業炉製造業高齢者雇用推進委員会での検討結果をもとに、業界各社が高齢者の活躍を推進しながら競争力を高めるために取り組むべき課題や方向を、次の五つの指針にまとめて紹介している。指針ごとに関係するアンケートの統計データと、他業種の対策事例もあわせて確認でき参考になる。● 指針1  企業における高齢者活用に対する認識の転換● 指針2  評価に基づく処遇や賃金整備を通じたモチベーション向上の推進● 指針3  高齢者にとって、より働きやすい職場の環境整備● 指針4  組織内への知識・スキル・ノウハウ等の伝承・共有化の推進●指針5  若手社員を含めた組織内での能力開発の推進「Ⅲ 工業炉製造業における高齢者雇用に関する調査結果」では、同業界における高齢者雇用の現状と課題について、就労の現状や高齢期における就労に対する意識、そして各社の取組みを多面的に把握するために、工業炉製造業高齢者雇用推進委員会が日本工業炉協会会員企業を対象に2019(令和元)年度に実施したアンケート調査結果の概要を紹介している。巻末には「参考資料」として、高齢者雇用に関する情報一覧を示し、運用上の課題解決に向けて相談ができる関係機関の紹介や高齢者雇用をめぐる今後の政府方針、在職老齢年金と高年齢雇用継続給付の仕組みについて説明している。一般社団法人 日本工業炉協会1工業炉製造業 高齢者の活躍に向けたガイドライン 〜高齢者の活躍を企業成長に生かす〜一般社団法人 日本工業炉協会連絡先: 東京都千代田区岩本町3―2―10 SN岩本町ビル4階TEL:03―3861―0561FAX:03―3861―7445HP:http://www.jifma.or.jp/「産業別高齢者雇用推進ガイドライン」令和2年度策定

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