エルダー2021年3月号
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2021.326タクシー業界では、次のような要因からドライバー不足が慢性化している。① 昭和後期以降に採用されたドライバーが数年前から定年退職を迎えている。② 普通第二種運転免許取得者が減少している。③ 若者の就労ニーズが多様化しており、自動車の運転免許を取得しない若者が増加している。④ IT産業など最近発展している業種に若者の就職志向が傾いている。このような現状において、タクシー事業者が地域に密着した公共交通機関としてのサービスを維持するためには、若者や女性の採用と定着を促進し、ドライバー不足に対応することはもちろん、業務内容を熟知し新たな教育・実習の必要のない、定年後の高齢者の活用とその長期的な活躍についても、現役正社員とのバランスを取りつつ推進していかなくてはならない。同ガイドラインは、今後の65歳以上のドライバーの雇用について、その活躍を視野に入れつつも、労務管理にも役立つように、ハイヤー・タクシー業の高齢者雇用の現状および今後の課題解決策などをふまえて検討した結果を取りまとめたものである。 「Ⅰ 高齢者雇用の必要性とその背景について」では、ドライバー不足に直面する業界の現況を示し、高齢者の積極的な活用の必要性について説明している。「Ⅱ タクシー業における高齢者雇用の現状について」では、年齢別運転者証公付状況からみた高齢者雇用の状況について、2017(平成29)年と2020(令和2)年の集計データを比較。アンケート調査結果から導き出した高齢者雇用の概要について考察している。グラフや表を大きく掲載し、ポイントはイラストを用いて解説するなど、読みやすく理解しやすい。「Ⅲ 高齢ドライバーの雇用の良い点、強み等について」では、アンケート調査から浮かび上がった高齢ドライバーの雇用におけるメリットを7点にまとめている。「Ⅳ 高齢ドライバーの雇用上の不安と留意点について」では、事業主側からみた雇用上の不安と留意点を紹介している。「Ⅴ 加齢に伴う心身機能の変化に対する健康管理等の対策について」では、高齢ドライバーの雇用に関する不安で最も多い健康問題や、交通事故防止の観点から、健康管理における各社の取組みについて多数の事例を紹介している。「Ⅵ 高齢ドライバーに配慮した交通安全対策について」では、各社が取り組んでいる運転にあたっての注意喚起、安全運転教育、ヒヤリハット事例の報告実施、車両設備の安全化、I T機器などへの対応を紹介。具体的な意見、取組み事例を掲載している。「Ⅶ 65歳以降も元気で、できるだけ長く働き続け、公共交通機関としての責任感を持って仕事をするために(まとめ)」では、高齢者の体力維持と健康確保、交通事故防止対策、運転技能・技術への対策、コミュニケーションの維持について、賃金と年金の関係に配慮した勤務時間や賃金の設定の5点について、提言している。一般社団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会3ハイヤー・タクシー業高齢者の活躍に向けたガイドライン 〜公共交通機関として安全・安心輸送のために〜一般社団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会連絡先: 東京都千代田区九段南4―8―13自動車会館3階TEL:03―3239―1531FAX:03―3239―1619HP:http://www.taxi-japan.or.jp/

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