エルダー2021年3月号
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特別企画エルダー29「産業別高齢者雇用推進ガイドライン」のご紹介公益社団法人全日本病院協会は、2012(平成24)年に「病院経営に必要な高齢医療従事者の活用ガイドライン」を発行し、高齢化に対応した持続可能な人的資源管理システムが必要なことを啓発してきた。そして2019(令和元)年度から2年間にわたり、再度の調査、聞き取りなどを通じて、業務における身体的負担の大きさが、職員、特に看護、看護補助業務にかかわる職員の継続雇用に与える影響が明らかになった。本ハンドブックは現場の課題をふまえつつ、先進事例や最新の技術を活用しながら継続的な就労を可能とするため、実現可能なアイデアとそれに必要な枠組みについて取りまとめたものである。 「1 高齢者雇用の推進が求められる背景」では、少子高齢社会、政府の高齢者雇用対策の概要、医療業特有の要因、ロボット・ICT普及など、高齢者雇用を取り巻く環境の変化について、医療施設の職員全般について言及し、高齢者の就業促進が求められる背景を概観している。「2 高齢者雇用の現状」と題した2章以降は、看護師・看護補助職を中心に解説。医療業における看護・介護分野の人材不足は積年の課題であり、少子高齢化が加速していくなかで、看護職・看護補助職が高齢になっても引き続き病院で働き続けるため、または退職者の職場復帰のための方策について紹介している。看護師のセカンドキャリアにおける活躍を目的として、職場環境整備を行っている病院の事例紹介も参考になる。「3 装着型医療支援ロボットの活用」では、高齢者雇用の推進により人材不足の対応、および生産性の向上が期待できるとし、より一層生産性を向上させるために、ロボット・ICTの活用が有効と考察。装着型医療支援ロボットの導入・運用を通して、勤続年数の長い看護師・看護補助職・リハビリ職を対象に、中腰などの作業における身体負荷の変化についてアンケートとヒアリングを行い、調査結果を紹介。装着型ロボットの効果的な活用方法を紹介している。「4 アンケート調査の結果概要」では、病院における高齢者雇用の現状や課題を明らかにすることを目的として実施したアンケート調査および分析結果を紹介している。具体的には、看護職などの定年制、継続雇用制度、退職年齢といった高齢者雇用の状況、および看護職・看護補助職の身体的負荷の状況、高齢者雇用に関する課題について調査している。「5 参考資料」には、医療業高齢者雇用推進委員の安永好宏氏による「医療分野での装着型ロボットの開発と活躍」をテーマにした寄稿文を掲載。中高年者や高齢者の活用を促進する場合の安全な職場整備のために、装着型ロボットを活用する有効性について示唆している。そのほか、医療・介護分野でのロボット活用における政府の取組みや、高齢者雇用に関連する法律、法改正の概要などを取り上げている。公益社団法人 全日本病院協会6病院における高齢医療従事者の雇用・働き方ハンドブック公益社団法人 全日本病院協会連絡先: 東京都千代田区神田猿楽町2―8―8 住友不動産猿楽町ビル7階TEL:03―5283―7441FAX:03―5283―7444HP:https://www.ajha.or.jp/

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