2021.332す。以前、離職を考えている若手の相談にも乗ってもらっていました」と話し、今後も若手の相談相手となり、職場の潤滑油としての役割を期待しているとのことです。今回は、週5日フルタイムで勤務し、会社の期待を背負って活躍している3人にお話を聞きました。「自由で、人間関係がよい会社」と口を揃える前田僖き義よしさん(74歳)は、2011年から10年間、円えん筒とう研けん削さく盤ばんの機械を使った加工を担当しています。もともと日生工業の協力会社を経営していたことから、業務委託契約で働くことを会社から年退職を迎えます。そのとき、ノウハウの伝承がきちんとできるか、若手の技術者を育成できるか、中途採用で補充ができるか、といった懸念があったことと、直近で迫っている同一労働同一賃金のスタートにより、現在所属する非正規高齢従業員の処遇の見直しが必要であったこと、そうした懸念があるところにタイミングよく訪問しました。同一労働同一賃金について、賞与、手当、退職金を含めたアドバイスや提案をしたことで高齢者雇用制度の検討が進みました」高齢従業員の卓越した技術に支えられる現在働いている、60歳以上の高齢者は5人。彼らの働きぶりについて、佐野洋之製造部長は次のように話します。「仕事をお願いするときには、こと細かに説明をしなくても何を求められているかをすぐ把握してもらえ、でき上がりにはほぼ問題がないので助かります。みなさんが技術色の強い経歴を持っているので、それを活かしながら当社での仕事に楽しんで取り組んでもらっているように思います」さらに、「みなさん若手従業員とのコミュニケーションの取り方がうまく、穏やかです。若手の成長を楽しみにしているところがあり、上長に相談しづらい悩みを相談できる存在でもあるようで「同一労働同一賃金」への対応と同時に定年延長同社の定年は60歳、希望者全員を63歳まで、会社の基準を満たす場合は65歳まで継続雇用していますが、2021(令和3)年4月から定年年齢を65歳とし、65歳以降に入社した従業員については70歳定年とする制度を導入予定です。定年以降は1年毎の契約更新とし、年齢上限なしの継続雇用になります。なお、60歳以降は定年年齢が選択可能で、以前と変わらない働き方を望む人はフルタイム勤務、プライベートを重視したい人は短時間勤務と働き方の選択も可能です。定年制を改定する理由について加賀常務は「2021年4月からスタートする中小企業における同一労働同一賃金の適用に、どう対応するかというところから、あわせて定年制を見直すことにしました。もともと、いま会社を牽引している40代後半から50代前半の従業員が60歳を過ぎても会社に残ってもらえるような仕組みづくりが必要だと考えていたこともあります」と説明します。2020年に初めて同社を訪れた小林プランナーは、同社の高齢者雇用の現状について次のように話します。「いまのところ定年後の再雇用者はいませんが、これから10年後を見すえると、50代の従業員が定熟練の技術で研削機械を操る前田僖義さん
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