エルダー2021年3月号
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2021.334はじめに1前回は、2020(令和2)年3月、厚生労働省が発表した「エイジフレンドリーガイドライン(高齢者の健康と安全確保のためのガイドライン)」の概要を紹介しました。そのなかで、事業者は、事業場に潜む危険な芽を摘むため、リスクアセスメントを実施し、優先的にリスク低減対策を講じるべきものを定め、それを基に、心身機能の低下を補う設備・装置の導入(主にハード面の対策)、および高齢者の特性を考慮した作業管理(主としてソフト面の対策)が求められています。本稿ではそれらの具体例を紹介します。ハード対策2心身機能の低下を補うハード対策により、職場環境を改善します。例えば、脚筋力の低下による転倒災害を防止するためには、つまずくものがないように通路を整えることが必要ですが、その通路は、若者にとってもつまずかないものとなります。このように、心身機能の低下を補うハード対策のほとんどは、高齢者だけではなく、そこで働くすべての人々にとって被災しにくい職場環境となります。具体的なハード対策は35・36頁の通りです。ソフト対策3ハード対策とともに、高齢者の特性を考慮した作業管理などのソフト対策が必要になります。ポイントは以下の通りです。①勤務形態、勤務時間の工夫筋力や運動能力は加齢とともに低下し、個人※ 前回までの内容は、ホームページでご覧になれます。エルダー 高齢社員のための安全職場づくり検索 生涯現役時代を迎え、60歳、65歳を超えて、より長く活躍してもらうためには、企業が職場における安心・安全を確保し、高齢社員が働きやすい職場環境を整えることが欠かせません。本連載では、高齢者の特性を考慮した〝エイジフレンドリー〞な職場の実現方法について、職場の安全管理に詳しい高木元也先生が解説します。労働安全衛生総合研究所 安全研究領域長 高木 元也―エイジフレンドリーな職場をつくる―高齢社員のための安全職場づくり高齢者の労働災害防止対策について(ハード対策とソフト対策)第3回

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