エルダー2021年3月号
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2021.336⑩情報機器作業への対応高音域の音が聞き取りにくい高齢者には、中低音域の警報音、パトライトの点滅などにより警告・注意喚起を行います。これは、高齢者特有の対策といえます。パソコンやタブレットを用いた情報機器作業については、厚生労働省から「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(図表1)が示されています。ハード対策としては、ディスプレイの明るさ、情報機器・机・椅子の選定、メガネの用意などがあげられます。⑥警報音などの対策⑧重量物取扱い対策過度に重い物を持ち上げ腰痛になることを防ぐため、重量物の取扱いを抑制します。 また、柔軟性が低下している高齢者には、腰、背中などへの負荷の少ない作業姿勢をとることや、身体をかがめる姿勢、ねじる姿勢にならないようにするため、作業台の高さや、作業対象物の配置を改善します。重量物を持ち上げる作業での負荷軽減のため、身体機能の補助機器(パワーアシストスーツなど)の装着も推奨されます。⑨熱中症対策熱中症災害は、高齢者の発生率が高く、その対策は重要です。涼しい休憩場所を整備し、そこに十分な水分、塩分がとれるような飲み物を備えます。また、通気性のよい服装の着用も推奨されます。熱中症の初期症状を把握するため、脈拍数、体温などが計測できるウェアラブルデバイスなどのIoT機器の利用が推奨されます。しかし、熱中症の発症を正確につかむために必要な深部体温(身体の内部の温度)は計測できませんので、あくまでも初期症状(熱中症の疑いがあるかどうか)を見つけるために活用します。⑦介護作業などへの対応介助者の腰痛は非常に多く、腰痛防止にはリフト、スライディングシート、移乗支援機器などを導入します。出典: 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」リーフレット図表1  「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」の枠組み作業環境管理情報機器作業を行う環境の整備方法について説明しています。(例:ディスプレイの明るさ、情報機器や机・椅子の選び方)作業管理情報機器作業の方法について説明しています。(例:1日の作業時間、休憩の取り方、望ましい姿勢)健康管理情報機器作業者の健康を守るための措置について説明しています。(例:健康診断、職場体操)労働衛生教育上記の対策の目的や方法について、作業者や管理者に理解してもらうための教育について説明しています。

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