エルダー2021年3月号
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エルダー37差が大きくなります。年齢だけでなく、個々人の特徴を把握して作業内容や作業時間などの調整を行います。短時間勤務、隔日勤務、交替制勤務などの導入も検討します。加齢とともに、昼から夜、あるいは夜から昼といった勤務シフトの変更に体を慣らすことがむずかしくなるため、夜勤について十分な配慮を行います。図表2は、老人福祉施設における夜勤の勤務時間短縮の例です。疲労感は、作業内容だけではなく、休憩の間隔や長さによっても大きく変わるため、適度な休憩を取れるようにします。そのほか、加齢とともに、高血圧や高脂血症など、何らかの疾患を持つ人が増え、定期的に病院に行くことも多くなりますので、通院の時間を取りやすくします。②ゆとりのある作業スピード高齢者は若年者に比べ、時間に追われるような仕事には慣れにくく、またミスもしやすいことが知られています。作業者が自主的に作業負荷をコントロールできるようにします。③無理のない作業姿勢加齢による筋力、関節の動き、柔軟性などの低下は避けられません。身体の曲げ伸ばしやねじれ姿勢など不自然な作業姿勢を減らします。また平衡感覚も低下するのでバランス感覚も落ち、身体の安定がとりにくくなります。このため長時間の立位作業を減らします。そのほか、加齢により関節の動く範囲が狭くなり、無理に手を伸ばしてバランスを崩すこともありますので、身体をねじる作業を減らすようにします。④注意力、集中力などを必要とする作業への配慮監視作業や製品検査など高度な集中が必要な作業は、例えば一連の作業時間が長くならないように、ローテーションによって作業を分担します。注意力や判断力の低下による災害を避けるためには、複数の作業を同時進行させないよう配慮します。また、反応動作が低下してきた高齢者には、素早い判断・行動を要する作業を少なくするよう配慮します。高齢者は若年者に比べて、仕事の量や内容の急な変更に適応しにくいため、作業の進み具合を自ら確認できるようにします。⑤腰への負担軽減高齢者の筋力の低下に応じ作業内容を変えたえり、補助具を用いたりするなどの配慮をします。見た目以上に重いものを急に持ち上げるような作業は腰痛に直結します。ソフト対策としては数値や色彩などで具体的に重さがわかるようにします。⑥身体負荷の大きな作業への対応身体負荷が大きな作業では、職場で疲労回復を図れるよう快適に休憩できる十分な広さのスペースを設けます。おわりに4以上、今回は、エイジフレンドリーガイドラインに基づき、事業者に求められる心身機能の低下を補うハード対策、ソフト対策の具体例を紹介しました。次回からは、労働災害の種類別に、その実態、効果的な労働災害防止対策などについて詳しくみていきます。出典: 厚生労働省「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」パンフレットより抜粋図表2 夜勤の勤務時間見直しによる業務分散の例見直し前見直し後日勤日勤夕勤日勤日勤夜勤夜勤夕食介助16:3021:309:30体位変換朝食介助夜間排泄介助離床介助臥が床しょう介助離床介助高齢社員のための安全職場づくり―エイジフレンドリーな職場をつくる―

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